この夏の課題の一つであった、笠ケ岳の日帰り山行に挑戦した。笠ケ岳登山は通常1泊2日の行程である。雨が上がるのを待って、朝4時30分に新穂高を出発し、笠新道ー杓子平ー笠ケ岳山頂ークリヤ谷経由ー槍見温泉に4時40分下山ー新穂高温泉5時20分着の行程で行動時間は13時間にも及ぶ過酷ものであった。また累積標高差は2050m、下降は2200mであり、自分のいままでの記録を全て更新している。笠新道はひたすら登りであり、杓子平まではなかなか休むポイントが見つからないが、概ね道は安定し大変歩きやすい。景色も良く長い登りも楽しめるのだが、問題は下山路のクリヤ谷である。現在はメインルートではなく、荒れた箇所も多い。一番の問題は苔むした石・岩と泥が不規則に並び、木の根は張り出し、とにかく良く滑る!!何回スリップしたか・・・ただ疲れた・・・・登りの2倍の疲労であった。しかし、このクリヤ谷を登りに使ったりまた、日帰りで往復した人がいるのには驚きだ!!ちなみにクリヤ谷の登りの人は本日1名のみ途中ですれ違っただけであった。ちなみに本日笠ケ岳日帰りは推定5名いた。1人は単独のクロスランナーで恐らく本日最速だろう。入山後3時間時点で、私を追い抜き、私が山頂までの1時間のところで復路に入っていたのだから推定で往復8時間くらいか。私と全く同じ行程であった夫婦1組2名。先の1人と同じようなピチッとしたタイツパンツで、2人とも鍛えられた身体が非常に美しい夫婦であった。もう1人は私と登りはほとんど同じペースで下山も笠新道を降りると言っていた。今回は相変わらず撮影機材が多く三脚・カメラ2台・水などで日帰り笠ケ岳には過剰な14kgの装備重量であったことを付け加えておきたい。 |
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8月10日午前2時:車中にて登山計画確認中。この時点で外は雨が降りしきり天気予報は明日は晴れとのことだが一抹の不安が募る”本当に雨はやむのか・・” この後、3時30分には雨はやみ外は少しづつ夏の空気の匂いが漂う。”何とか晴れそうだ・・”決行の時が来たようだ。 |
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4時30分:当初の予定より1時間遅く出発である。穴毛谷を左に見ながら進む。穴毛谷はなんとも異様であり威圧感を感じさせる谷の形相を呈している。看板に穴毛谷の由来・・・が記載されていた!なるほどね! そんなことだったのね・・・ 直訳です ○穴毛谷の由来 それっぽい絵まで描かれていますネ |
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5:37笠新道の入り口 蒲田川左俣を詰めてゆく。ワサビ平に出る少し手前・1時間くらいで笠新道登山口に出会う。いよいよここから急登が始まるようです。心して掛かります! |
鬱蒼とした樹林帯を淡々と登ってゆく。まだ太陽はそう高く登っていないので、暑さは感じないが、周辺は少しづつ明るく・そして太陽の光が木漏れ日を形成するようになり樹林の間からの光が眩しい。そして樹林が切れた瞬間右手に穂高の山並みが飛び込んでくる。 | |
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6:10樹林帯の切れ間より 飛騨側からのジャンダルム仰瞰 |
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朝もやの中に穂高連峰が浮かび上がる様はただただ感動するのみ・・・言葉なんて使うのはヤボだ。自分の目で見て実感してもらいたい |
そしてなおも樹林帯を淡々と上り詰める。この登りはいったいいつまで続くのか・・気が遠くなってくる。3時間くらいが経過しただろうか。頭上に突然雄大なカールが拡がる。杓子平に出たのである。目の前に笠ケ岳・抜戸岳が拡がる | |
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8:38杓子平に到着である。笠新道入口から2時間であった。 秀峰:笠ケ岳2897mが高い。岐阜県内最高峰の山である |
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ぐるっとまわりを見渡すと抜戸岳から笠ケ岳までそして背には穂高連峰が鎮座する。この圧倒的な感動! ここまで登ってきた甲斐があったというものだ。そしてさらに稜線を目指す。 |
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杓子平から緩急の斜面を登りきる。9:50である。杓子平から1時間10分を要した。ここからはほぼ同じ標高に笠山頂へと稜線が続く・・・これだよこれ!! さあ稜線漫遊を楽しもう。1時間後には山頂だ。 |
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10:29抜戸岩:ここまで来れば後30分くらいだろう。 |
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抜戸岩の間からは笠ケ岳山頂が高い |
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11:01笠ケ岳山荘到着である。下山は山頂越しに繁多に降りてゆくため、ここには戻ってこない。中を見学しがてら、クリヤ谷の様子を聞くこととする。斜面は急だが道は整備されているとのこと。滑りやすいので気をつけて!とのアドバイスをもらう。それにしても奇麗な小屋だ・・・さあ、小屋をあとに一気に登りきろう |
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11:15山荘出発。山頂までは岩くずの道を15分程度である。 笠ケ岳山頂記念写真 (しかし、本当の苦しみは下山路にあったのだ・・・?) |
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笠ケ岳山頂よりヤリホ連峰を一望する。先週の信州側とはまた違った、光景である。滝谷の岩陵を従えているせいか、優美な中にもどこかしら厳しさを漂わせている・・・ |
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槍ケ岳・・・現る |
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穂高連峰ビッグスリー: 滝谷を従える北穂その右には涸沢岳-白出のコルをはさんで奥穂高岳-ジャンダルム-天狗岳-間ノ岳から一気に切れ落ちて西穂に連なる 山頂ではわずか30ではあったが360°の大展望と写真撮影を楽しんだ。時間が限られているため。おにぎり1個とゼリードリンクを流し込みさっそく下山である。いったいどれ位掛かるのだろうか・・・ |
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山頂より播隆平・クリヤ谷方面 大スケールのカールが拡がっています |
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下山路に選んだクリヤ谷ルートへ下降する途中から見た笠山頂 私の15分くらい前に夫婦1組がクリヤ谷へ下山していった。 人があまり入らないのであろう、草木はのびその茎に足をとられ幾度となくつまづく。さらに下降しなければならないが、今度は錫杖沢に出会ってからが本領発揮である。とにかく滑る石ばかりである!!どの石もそっと確かめるように足を置かないとツルリンと滑って瞬く間に転倒だ!油断できない |
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道の脇から雷鳥の鳴き声が(どんな鳴き声だったか・・)聞こえるので目を凝らしてみるとすぐ横にいました!! このあたりは雷鳥沢と言う地名である。本当にいるんだ・・・雷鳥が・・今年は良く見かけます。 |
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穴毛谷側の垂直壁。 笠ケ岳はなだらかな山容だが、穴毛谷方面は一変して険相な一面を見せる。 |
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稜線から樹林帯への分岐:クリヤの頭にて。 クリヤの頭を越え、この後、稜線から樹林帯へ下降しいよいよクリヤ谷の本領発揮である。急傾斜とブッシュが行く手を阻む。草が谷方面に流れて生えているために、滑りやすい。要注意である。 |
この後は厳しい急斜面と滑りやすい岩斜面・ブッシュ帯が続く。横に張りだした木の根が足下を不安定にし、行く手を阻もうとする・・・登りよりも疲れるかもしれない。初めての道だけに疲労度合も激しい。 |
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しかし、時折現れるお花畑の可憐な草花に励まされ、滑るように斜面を下ってゆく。 |
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錫杖岳を見上げる地点まで下降してきた。このあとは沢沿いの道を進むのだが、途中の沢の徒歩点で転んでしまい、靴はびしょぬれ(もちろん中まで浸水だ)ここには橋が掛かっていない。かつては2箇所ほど橋があったようだが、流された後は回収されていないようだ。水量が多いときは渡れないと思ったほうが良い。申し訳程度のロープが渡されていたところもあったが。 |
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途中にあった水場で咽を潤す。つかの間の幸せである。 |
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下山開始から、約4時間後苦闘の末ようやく、登山口に到着でる。電話ボックスのみがお出迎えと言うなんとも寂しい終着点であった。・・・・オットまだまだ、駐車場までお散歩が待っている。 |
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槍見温泉の下山口から新穂高駐車場まで2kmほどの歩行が待っている・・・びゅんびゅん走るクルマの横をトボトボと歩く様は滑稽かも?最後のツメも疲れました〜〜 |
5:00PMようやく今回の全行程が終了です。この後は、平湯温泉で一風呂浴びて、6:30分平湯温泉を後にし、帰宅です。自宅着は10:00PM頃でした。 |