2004.8.8(SUN)
北アルプスの懐:黒部のゴロゴロへ・・・one day hard trek
暫定更新版

山ノ村:飛越新道アプローチ
主要山座:北ノ俣岳2661mー、黒部五郎岳2839m:2座登頂
山行き形態:ピークハント&縦走ピストン

総行動時間13時間(5時入山、18時下山)、累積標高差約2300m
また自分の限界に挑戦してしまった・・・自身でも初めての山域である。飛越新道から北ノ俣岳ー黒部五郎岳の日帰りピストンである。全行程約25km、累積標高差推定2300m、行動時間13時間。今度は自分でも本当に戻れるのだろうかと途中で諦めようと思ったくらい大変であった。出発時間が遅かったこと(朝5時入山)。天候が悪く視界不良であったこと。思った以上にアップダウンが多かったこと。荷物が重すぎたこと(14kg・・・・使わないカメラやレンズを詰めすぎた)などである。北の俣岳まででかなり体力を使っていたが時間的に予定よりも1時間30分早く到達したため、一気に黒部五郎まで突き進んでしまった。後にも先にも進むか引き返すかしかない。途中でエスケープは不可能である。出発から7時間・・12時ちょうどに黒部五郎に到達したが、帰路は散々であった。特に北の俣岳から登山口の間が激エラであった・・・もう足が上がらない・・・くらいヘトヘトとなり3リットルの水も珍しくほぼ飲みきってしまった。もうこんなしんどいのはヤダーーと何度も叫んでいたが、下山途中にであったかなり遅くから入山したと思われるトレイルランナーのたくましい姿をみて自分を奮い立たせて何とか帰り着いた!しかし、結果的には縦走以外絶対に一生行けないだろうなーと思っていた山域の一角を攻略することが出来、満足である。黒岳・ワリモ岳・雲の平・・・・この山域はさすがに日帰りは絶対無理だろう。薬師岳の日帰りも捨てがたいがこちらは有峰湖:折立からのアプローチの方が有利だろう。
自分で”何でこんなに厳しい山登りしなあかんのかな〜”なんて考えていた。答は・・・懺悔?かもしれない。まさに修行僧の心境である。

AM5:00

飛越新道脇の登山口に取りつく。のっけからの急登。いきなり息が切れる瞬間だ。まずは一歩一歩呼吸を調える。

10分経つと少し視界が開け送電線がある。ここからはるか遠くに剱岳が望めた。

ドンドン登ってゆくと道は水平〜緩い上り下りを繰り返すが、むかるんだ場所が多く朝一番で雨上がりということも手伝ってか、ズルズルと足が盗られる。しかし、朝もやの中に差し込む一筋の日差しが眩しい。黒っぽい泥状の土が漏出しており下手に足を突っ込むと靴の中までぐしょぐしょになってしまいます。スパッツを付けていたほうがいいです。

泥をよけながら必死に頑張って、約2時間で寺地山1996mに到達。別に何もあるわけではない。視界は遮られ景色は望むことは出来ないが、少し先に進むと北俣平の伸びやかな草地が広がるのでこの景色を見に来るハイカーも多い。特に雪のシーズンであれば無難に上れる場所なのだろう。

更に進むこと約30分で一気に視界が広がり避難小屋のある草地2050m地点にでる。ここからは右に3分ほど進むと避難小屋。まっすぐに行けばガキ田のある地塘にでる。このあたりは環境保全のための木道が造られている。まだ新しい木道で、部分的にしか造られていないようだ。登山道は土壌流出のため深く掘られており、これを防止するための木道や砂利での砂防が造られている。山中でこのような整備をするのは大変な苦労が必要な様子が窺える。

伸びやかな木道のある2050mー2200mの草地です。木道が敷かれ自然環境保護がなされていますが、木道が無くなると深く溝が形成され足場は極めて悪いです。気をつけないと溝にはまってケガをします。砂利などがまかれ泥の流出が施されていますが、このあたりには砂利石は無いのでヘリで運び上げたのでしょう。大変な苦労がなされているのですね。少しでも溝を深くしないように優しく歩く気持ちも必要です。

されに高度を上げ2500mくらいのハイマツ帯になると雷鳥が鳴いていました。子連れではないようだ。このあたりの雷鳥は人馴れしていないのか、逃げていってしまう。刺激しないようにそっとしておいてね。雷鳥の鳴き声って愛らしいですね・・・雷鳥という名前があまり合っていないくらいかわいいです。

ドンドン頑張って高度を上げ太郎平との分岐にさしかかると北ノ俣岳は約10分と目の前です。9時45分:北ノ俣岳山頂2661mです。コースタイムよりは1時間早く到達しました。(予定どうりなのですが・・・・)なだらかな丘の一角と言った感じでどこがピークかはよくわかりませんが、この近くが三角点です。ここまで来たら決心しなければいけません。帰るのは中途半端だし、黒部五郎まで進めばかなりのハードルートとなってしまう・・・やっぱり行くしかないでしょ!!いつものフレーズです!!

意を決したら進みまくります。ペースアップして前にいる活きのいい学生風の若者2名を追い抜くペースで進みます。赤木岳2622mの横を通過し、中俣乗越を過ぎ、いよいよ五郎への最後のガレ場の急登が待っています。と言ってもガスが巻いてきて先が見えないのでどこまでガレが続くのかも定かではありません。黒部五郎の登りから北の俣岳方面を振り返ります。

11時50分:五郎の肩に到着です。ガスッていたためおもむろに稜線の向こうにカールがあった!!と言った感じでした。何だかアッケないですね。山登りってこんなものですよね。ここから約10分で山頂です。何とか到達出来そうです。

黒部五郎のカール・・・天気・・・悪いです

12時00分。黒部五郎岳2839m山頂です。景色はないですが、まあこんなもです。この後パンの残り半分を食べ約10分の山頂滞在で下山開始です。名残惜しいですが帰りが思いやられます。急ぎましょう。

しかし、人相悪い格好です・・・品ないな〜ちんどん屋だな〜まるで

ガスってきています。カールの底をのぞき込んでいるのですが何も見えません。時々、ふわっとガスが飛びますがやはりすぐにかき消されてしまいます。

五郎の肩からは雄大な景色は望めませんでしたが、傍らには可憐な花が咲いており心が和みます。ミヤマダイコンソウ・・だと思います。高山帯の岩壁に岩の割れ目に沿って生えます

トウヤクリンドウ晩夏〜秋に咲くことが多く秋の気配を感じさせ花です

アキノキリンソウでしょうか・・・?チョットわかりません

ミヤマキンボウケのようにもみえますが黄色の花ではないはずですが・・

復路ノ北ノ俣岳にて小休止です、この表情の方が人相が善いですね。品のないサングラス止めようかな〜

今来た道を振り返ります。なだらかな稜線ゆえガスが出てきたら迷いやすいです。唯一一人のトレッカーが歩いていますが、休憩しているうちに随分先に進んだようです。周りには誰もいません。静かな山旅のワンシーンです。この後北の俣岳に戻り先程先行していたハイカーが休憩していました。テン泊らしくおそらく太郎平で幕営するのでしょう。

更に先を急ぎましょう。北ノ俣岳直下のガキ田です。のんびりとした光景です。立山周辺の弥陀ケ原と似た地質なのでしょう。

小さいですが上品な感じのガキ田です。

寺地山に戻ってきました・・・相変わらず展望も何もない場所です。でも三角点があります。

飛越新道(右)と神岡新道(左)の分岐です。現在は飛越新道がメインルートで、打保のルートはあまり整備状況が良くないようです。このころから、頭の上では雷が鳴り始めました・・・何とか雨に降られませんように・・・さあ頑張ります・・・・

途中でこれでもか・・・と言うくらいアップダウンがあります。往路では感じなかった斜面が強烈に足腰に響いてきます。ヘロヘロになってきましたが、18時ちょうど・・・登山口です。13時間ぶりです。

今回ばっかりは×マークです。疲れました・・・・これから250kmの距離を帰ります・・・今日は仕事出来そうにありません・・・ごめんなさい
過去最高の疲労度との戦いでした。登り一辺倒で復路が下りのみであれば対して疲労感はないでしょうが、下山後半での登り返しは堪えました・・・ほんの10数メートルの登り返しでも立ちはだかる壁のように感じてしまいました。やはり歳は隠せないですね・・・無理すると遭難しかねません。こんな過酷な山行はあまりお奨めできませんが、無事に帰ってこれたらいい思い出です。
山って何なんでしょうか?自分で登っていてそう感じることが多くなりました・・・五感をフルに働かせて、全ての周囲の雰囲気を全身で感じることが出来る時間だと思います。感覚的ではありますが、自分の弱さをさらけ出し、困難に打ち勝つことで、また前に進んでゆくことが出来る。一瞬の油断が命取りになるかもしれませんが、自分の弱さを教えてくれる修業の場です。自分の人生に対する懺悔の時間なのかもしれません・・・これからも様々な試練を与え続けてくれる、場所であることは間違えないでしょう。徐々にペースは落とさざるをえませんが、その歳で出来る最高のパフォーマンスを発揮できるよう日々の鍛練が必要です。