2004.9.12(SUN)

やっぱり槍は遠かった・・・槍ケ岳(飛騨沢)日帰り記録:槍ケ岳3180m

槍ケ岳:新穂高温泉〜飛騨沢アプローチ
山行き形態:日帰り・深夜入山・MTB・単独・ピークハント
総行動時間14時間(1時30分入山、15時15分下山)、累積標高差約2190m
以前から、ネットで槍ケ岳の日帰り山行記録が掲載されているが、本当に可能なのだろうか??とやや懐疑の気持ちがあった。私自身もほとんど日帰り日程の山行が多いため、日帰りの可能性が広がるほど、いける山も増えてくるので、嬉しいかぎりであり、最近は自分自身の限界点を探るべくあえて、困難な山行を選んでいる。距離・参考コースタイムどおうりであれば、飛騨沢経由の槍ケ岳山行は、休憩時間を省いても約16時間程度である。さあ実際に可能なのか?槍ケ岳日帰りに挑戦!!
行程9月11日(土曜日)夜21時自宅発。9月12日0時新穂高駐車場到着。1時よりモゾモゾと準備を開始。1時30分MTBのチェックを終え、ザックを背負い、ヘルメットをかぶりライトオン!いよいよ出発です。周りにはわずかに行動開始中の人がいたが、いきなり自転車に跨がり出発する私を見て、ややびっくりされていた。新穂高ロープウェイ乗り場を過ぎるとすぐに林道となる。1kmくらいは舗装林道だがその後はほぼ全線砂利ダートとなる。真っ暗でライトに照らされる光景以外は何も見えない。熊が出てきたってわかりゃしない! これじゃあ、恐くも何ともないね。 人が立っているほうがびっくりするよ。 徐々に斜度がましてきて、ひーひーと言い出し、太ももが笑いだす。いきなりこんなんじゃ先が思いやられるな〜・・・時々、登りきれずに自転車から降り押し歩きも行い、1時間と15分くらいで、白出沢に到着。コースタイム2時間よりは早いが、以外と時間がかかってしまったのだ・・・まあこんなもんか。さあ自転車をデポしてっ・・と思って周りを見たら、おなじくMTBが2台、すでにデポしてあった・・・やっぱりいるんだな同じような人が・・・チョット安心し、その2台の横にあるの道標の支柱にチェーンをかける。さあここからは、真っ暗な中の歩行開始だ。飛騨沢は初めてのコースなので道は全くわかりません。まあ、登山道である以上は何とかなるでしょう!
出発して約1時間経過・・・深夜でもすでに暑くてばてそうである。でも空を見上げると、満天の星が広がっている。明日は(きょうは)天気になりそうだ。さあ頑張って、行こう!


白出沢に到着です。
すでに2台のMTBがデポしてある。何だか一安心!隣の道標の支柱にワイヤーをかけ厳重にロック!こんなところでとられることはないと思うけど何があるかわからないから、おまけで2個もロック掛けておきました!さあこの後はいよいよ出発です。知らない道ですが、何とかなるでしょう!Go!Go!
ここまで来ると恐さなんか無くワクワクしてきます!

3時12分AM

歩き出してすぐに白出沢の河原を渡るのですが、真っ暗なため、どこに進んでよいのか全くわかりません!!周囲をウロウロして、探しますが道がどこか全くわかりません、適当に進んでみたものの、いきなり堰堤に突き当たり、落っこちそうになるしビビッてきたのだが、地図を見たり方角確かめたりし何とか進む方向が判明し、いきなり目の前にこのような道標があったときはホッとした・・・昼間なら別になんてことナインだけどね・・・くらいってことは恐ろしい・・・

3時25分AM

更に進みます。樹林帯では、虫の鳴き声やら時々頭上で鳥がきゃーと鳴いてびっくりさせてくれます。クモの巣も顔にからみます。ゾミゾミしますが、我慢ガマン・・・更に真っ暗な樹林帯を足下を確かめながらひたすら進むこと約1時間30分。ブドウ谷・チビ谷の道標を過ぎ、ようやく滝谷出合に到着。轟々と流れる渓流に橋が架けられているが暗やみに浮かぶと普通は何ともないような流れなのに、吸い込まれそうで恐かった・・・渡ってすぐに滝谷を見渡せる場所になるが真っ暗で何も見えない。休憩も兼ねてスローシャッタで写真をとってみようと試みた。

4時40分AM

滝谷です。少々休憩し写真撮影と、腹が減ったので、パンを食べます。早過ぎです食べるのが・・・

少し日が射してきたためうっすらと明るくなってきた。はっきりとは見えないが何となく滝谷独特の険悪さが伝わってくる。相変わらず横の川は轟々と音をてているからそう感じるのかもしれない。

4時57分AM

滝谷出合から約1時間でようやくヒト気のある槍平小屋に出るが、3張りのテントがあるだけで、ヒト気は少ない。テン場からドームや滝谷が望める。ここからは天気も良くなりそうなので2台のカメラを首にぶら下げて、撮影しながら歩くこととする。


槍平小屋:5時53分AM

槍平のテン場からドーム・滝谷


さあ、これからが本格的な登りだ。気合いれてGo!

槍平から千丈乗越に向けて歩いてゆく。傾斜は徐々にきつくなるが、急斜面と言うほどではなく、だらだらした登りが続く・・目の前の景色が開けだすとようやく千丈乗越分岐に着く。ここでようやく槍の一角が望めるようになり、ここから先はドンドンとガレた斜面をジグで登ってゆくのみ。長い長い登りだが、一歩一歩焦らずに詰めてゆく。

このあたりで、下山者とすれ違うようになる。(少し、かしましいおばさま方がわんさか降りてきた・・・)早いわね〜・・頑張ってね〜最高の景色が見えるから〜・・・などと励ましやらをいただきました。言われなくても頑張ってますよ〜・・・

また、槍平を出発したと思われる夫婦の方を初めて追い抜いた。しばらく歩いていると今度は結構なペースで登ってくる20才くらいの若者に追いつかれ、パス・・・いわゆる超軽量な装備でサッサと登っていってしまった。軽装備がうらやましかった・・・私は、この頃から生あくびと睡魔とふらつきに見舞われ高山病症状が出てしまったようだ。さすがに睡眠無しでの突入は堪えてきた・・・気合いで登ってゆくが足はひたすら重たい・・・出発した直後に自転車漕いでいる時から、かなりの眠気はあったし、いつもと違った自転車漕ぎの存在は、老体には予想以上に堪えていたようだ

しかし、このような景色に励まされるように淡々と登ってゆく。先程の夫婦の方と前後しながら登ってゆき・・・なんとか、飛騨乗越に到達。ここでようやく槍の雄姿に出会える。最高の天気と最高の光景だ。ここまでの疲れは一挙に吹き飛びまた、足取りは軽くなる!

7時16分AM

8時26分AM

槍ケ岳山荘の前ではスタッフたちが集まって談笑している。遠い過ぎざまに、お疲れサマーと声をかけられ、ここまで来たことを実感した。日曜日の昼食後となるとほとんどの泊まり客は出発しておりスタッフも一息入れてッと言ったところだろう。みんな楽しそうに働いてる。こんな楽しい職場だったら最高だろうね!(実際は大変なんだろうけどね)

さあここからは、休憩無しで一気に穂先までいってしまおう。ザックはデポせずそのまま担ぎ上げることとするが、ここでやはり高山病であることを実感した。過去に登ったときにはないくらい、足が上がらないし、ふらふらする・・・かなりゆっくりとしか登ることが出来ない。とにかく足下に注意してゆっくりと登る。幸いにして、この日は最高の天気に係わらず人は極めて少ない。追われることもないので、ゆっくりと登ってゆく。そして9時ちょうど!穂先に到着した。感無量である。本当に一日で来れるもんなんだ〜・・・昨年の剱以来の感動だ・・・山頂には私のほかに1名がいるだけ。そしてその方が降りてゆくとたった一人だけで槍を独占!!その後また一人登って来るが、その方は5分くらいで降りてゆきまた、私が独占! 山頂でゼリードリンクをのみ、おにぎりやらを食べ写真撮影の準備をしていると先程前後して歩いていた、ご夫婦の方が登ってきた。この方たちは朝、槍平のテン場から来たとのことだった。奥さんは槍が初めてらしく大変感激していた。彼らと写真の交換をしながら談笑していた。約1時間も山頂を独占していたことになる。こんな天気なのに本当に珍しいかぎりだ。名残惜しいが、まだ下山というイベントが待っている。時間的には十分下山可能だが、やはり、夜仕事が出来る時間を残して到着することが目的のため、やはり9時までには職場に戻りたい・・・この後は急いで下山だ。

8時44分AM

9時9分AM


槍山頂より北鎌〜独標を偵察・・・何となく踏み跡が追える・・


9時49分AM
山頂祠は今日も健在!あたりまえかッ

少し西鎌尾根側に下り、小槍と大槍を眺める場所へ・・迫力の光景である
10時13分AM


槍ケ岳山荘でピンバッチと簡単な土産物を購入。さらに、小屋特性のパンを買って食べてみるがこれがけっこう本格的でおいしいのだ!(350円と少々高いがそれだけの価値はあります)

下山開始です。大バミ岳を正面にみて、飛騨乗越を飛騨沢側に下降します。まっすぐ行くと穂高への縦走が出来ます・・・時間があればぜひ行きたいコースですが、残念です・・・

しかしこのあたりはもう紅葉が始まっています。黄色が中心ですが、今年の紅葉は早いという予想は本当のようです。通常は10月第1週が涸沢の紅葉の最盛期ですが、今年は1週間以上は早まりそうです・・・行きたいです久々の涸沢・・さあ、何も考えずドンドン下ります。日差しが夏のようで顔が痛いです。帽子のほかに、サンシェードも日ぶり更に顔にはてバンダナも巻きます。最近、顔のしみがひどくて最悪ですので出来るだけ紫外線はパスです! ドンドン老化してしまいます・・・

まるで夏のような空です。じりじりと陽が差し、いたいくらいです。日焼け止めをべったり塗り、更にバンダナで顔を覆わないとヤバイです。南岳を見上げます。

言わずとしれた、藤木レリーフです。ここは小さなセセラギになっていて休むにはいいですが、すぐに滝谷出合ですからそこで休むことにします。

12時22分PM

槍平小屋に戻ってきました。山頂でご一緒したご夫婦はここで昼食を摂るとのことでお先に出発です。

1時16分PM

約3時間経過し夜中に休んだ滝谷に到着です。ここで三脚を立てて写真撮影です。

後は、白出沢まで下り自転車を回収し一気に下山ですが、白出沢はこんな感じでした。暗いときとは全く雰囲気がちがいます!昼間は間違えようはありません!!

行きは青線方向に進み堰堤に突き当たってしまったのですが、実は赤線だったんですね・・・危ない危ない・・・

さあMTBを回収しました。ここから砂利ダートをコケないようにダウンヒルです。ちゃんとメットもかぶります。ここからの下りはけっこうでこぼこで大変ですが、やっぱり歩くよりは数段早い!1時間30分の所要時間のところ約20分で新穂高に到着です。新穂高バスターミナルに到着したのが3時10分でした。公衆浴場に間に合ったのでチョットは要らせていただきます。着替えが無いので、また同じシャツを着なければいけませんが・・・摂りに戻っていると間に合いません。約10分で風呂から上がりもう一度自転車に跨がりクルマに向かいます。

穂高平避難小屋です。2時56分

ここがOFF ROAD Bikeで走れたら面白いんだけどな〜最高のフラットダートだ・・

新穂高駐車地点に戻りました。3時32分です。この後自転車を積み込み服を着替えて出発準備です。

帰ってきました。本日の行動時間は14時間15分。標高差2130mでした。思ったよりはあっさりと終わってしまいました。ただし、水平移動距離が長く、その分だけ剱よりは時間がかかり大変ですが体力的には互角です。8月に行った黒部五郎とどっこいどっこいかもしれません。

この後、3時45分に新穂高を出発です。ここから180kmのドライブです。何とか8時くらいには帰れそうです。職場にも寄れそうです!何とか、日帰り槍ケ岳の山行きが成功しました。真っ暗な登山道は道迷いさえ注意すれば、そんなに危険ではありません。ただし、全てを歩行で実行するともう1時間30分くらいは余分にかかりそうです。MTB様サマです。ただし、コケると大けがする砂利ダートなので、注意が必要ですね。特に私のようにMTBトウシロウには・・・冬に山スキーで進む場合の参考になりました。今年は、かなり無理な山行きばっかりでしたがそれなりに楽しめてしまう行程ばかりでした。次回の山行きははゆっくりと”涸沢〜本谷〜を詰め南岳”か”西穂〜奥穂逆縦走”へでも行ってみたいな〜と思っています。