2005/08/28(日)
甲斐駒黒戸尾根日帰り・修験者道の面影 〜山梨県・黒戸尾根アプローチ〜
メンバー:単独、形態:ピークハント
最高到達点:甲斐駒ヶ岳山頂2963m
累積標高差:2375m
総活動時間(自動車移動込み)25時間
総行動時間10時間40分
登り5時間30分
下り4時間
休憩1時間10分
2005年8月28日(日曜日)今年の夏は週末ともなると前線の停滞で本州全般に不安定な夏型気候となり雷雨が多くおおよそ夏山の雰囲気を味わうことが出来ていなかった。しかし今回ようやく念願だった甲斐駒ヶ岳2963m黒戸尾根より日帰りを行なった。最軽量の装備5kgとし、カッパはジャケットだけでパンツはない。水は3リットル。食料はパンとゼリーのみ1000カロリー分のみ。いつもどうりデジカメとFUJI645中版は装備し、総重量は5kgに収まった。さあ久々の夜行登山である。心してかかります。
[暗黒へようこそ]
深夜3時から暗黒の尾根に取りつく。いきなり登山口にキャンプ中の学生風20才くらいのあんちゃんが酒に酔い道路上にヘッドランプをつけたままで座り込んでいる。まるで死んでいるかのように・・・一番ビビった瞬間であった。死んではいないだろう、ちゃんと手を組んで座り込んでいるし・・まあ彼は放っておいて先を急ごう。ヘタに係わるとこっちが時間が無くなっちまう。ここで酔いつぶれて凍死するのも自己責任。暗闇の山に登って遭難するのも自己責任・・・ということさ。
ヘッデンに照らされる足元に注意し時間400-500mのペースで登る。ただひたすら暗く、暗黒の世界に引きずり込まれている感じ。時々ガサガサ・・・熊だったらどうしよう。手にはしっかり石を握り締めて・・・そのうちなんとなく慣れてきて暗闇と同化している自分がいた。ヘッデンだけでもしっかりとした踏み跡がある登山道のため不安はない。

徐々に明るみを帯びてくる樹林帯。午前5時26分 黒戸尾根一番の難所とされる、刃渡りですが、しっかりとした鎖が有り恐さは微塵もありません。5時30分この後にある屏風岩前後の急登の方が鎖に懸垂場になったり、滑りやすいハシゴがあったり、そっちの方が危険かもね。
[鳥のさえずり〜夜明け]
標高2000m付近で午前5時15分頃となる。この時間はうっすらと明るくなっているのだが頭上を覆い隠す樹林が深いためまだまだ暗い雰囲気。それでも樹林が切れると急に明るくなり、鳥のさえずりが私を現世に連れ戻す。樹林が切れると明るくなりヘッデンをしまいどんどん高度を稼ぐ。2200m付近で初めて下山者とすれ違う。”速いですね何時に出たの?””3時です””へ〜早いんだ。真っ暗だったでしょう。””ええ、でも涼しくてよかったです、荷物も軽いし”てな感じで。この尾根は利用者は少なく静かな落ち着いた山行を楽しめる。(最終的には登路中に下山者とすれ違ったのは10名位だと思う。)

刃渡りから15分程で刀利天狗に到着。簡単なベンチが有り休むに最適です。5時46分 五丈小屋2200mの手前で一旦、2300m黒戸山を越えますが少しくだってたところが鞍部で五丈小屋が建っています。下山時の疲れた時間帯でのこの登りかえしが疲れそうです・・・6時15分

五丈小屋です。かつては営業小屋だったようですが今はやや倒壊の危機で立ち入り禁止となっていますが、冬には避難小屋として使用できそうです。なかなか味のある雰囲気です。6時16分 さあ五丈小屋から七丈小屋に向けて出発します。ここから次から次へとハシゴ・急傾斜の鎖・へつり・またハシゴ・滑りやすい岩や、鎖に捉まっての乗り越えなどなかなかハードです。まあ落ち着いてゆけば危険を感じるほどではないですけど。6時22分

木製の橋があります。濡れているとスリップしやすいです。ここを渡るとまた目の前に一山あらわれます。6時40分 七丈小屋に到着です。唯一の営業小屋です。蛇口のついた水があります。飲み放題のようです。収容人員はすく少ない小さな小屋です。土足禁止の奇麗なトイレがあります。6時56分
[そして修験者となる]
2200m付近の五丈小屋(崩壊寸前、避難小屋程度)に来ると、ようやく山頂方向の岩が見える。見上げると切り立った壁のようで、まだここからぞっとするほどの登りである。何処をどのように登るのか? 道が付いているのが不思議な斜面である。5分の休憩後、唯一の営業小屋である2400m七丈小屋に向けて出発。ここから先がいきなりハシゴ・急斜・ハシゴのオンパレード、斜面はところどころ濡れて滑りやすく、道の脇には数多くの墓石・石碑が並んでいる。先人たちの苦労が忍ばれる。しかし登っているうちにだんだんと心は空白となる。急登に苦しめられ、樹林で蒸して、稜線で冷えて、さらに直射で熱せられ、体を痛めつけられる。それでも今日は涼しく楽な方だと思う。ただ惰性と執念の入り乱れた不思議な感触。修験道者の気持ちとはいったいどんなだったのだろう。こんな感じだったのか。でもその時代にはハシゴなんかは無かっただろうし、まともな靴もロープもない。脚半にわらじ、手には金剛杖・背中には石碑なんかも背負っていたのか・・そんないでたちで山に向かったのだろう。命を落としたものも多いはずだ。今の登山の装備は恵まれている。

7時11:登路の途中から、見返れば・・鳳凰三山が 7時41分:ようやく頂上岩峰が見えてくる。ここからはもう標高差300m位か?いつものとレーニングの300m峰の金華山と思えばあと40分だ!さあ頑張ろう

8合目御来迎場:7時44分:ここまで来ればあとわずか・・・ 8時26分:そして頂上三角点手前の大黒天のピークの到達・・・ここからは富士山を始め・北岳・農鳥・仙丈ヶ岳・北ア・八ケ岳・・・全ての山域が見渡せるようになる!
[空虚と開放]
どんどん高度をあげるにつれて、不思議と苦痛から開放されてきている。もうあとはただトレースを拾い、登りあげるだけ。1歩1歩のスタンスは高いが、その分高度は上がる。いつの間にか8合目〜9合目、そして一気に展望が開ける、左手には笠雲をまとった富士の頂、北岳、間ノ岳、正面には仙丈岳この仙丈だけは雲ひとつ無くすっきりと全山をあらわしている。そして右手には北ア、御嶽、赤岳・・・どの峰も雲は多いが雲の上に頂きをぽっかりと現している。日本の真ん中にいる感じだ。北沢峠からの登山者がありの列のごとく連なって登ってくる。山頂は大賑わい。今の黒戸の静寂がうそのようだ。この景色を見るために修験者は登ったのか・・・山に集う人々は皆、目が輝いている。一切の濁りもない。若い男子学生・若い女性・中高年者みな子供のように大きな声で、来て良かった・・・凄い、最高・・・ただ感動を言葉にするしかない。全てものから開放されたかのような、空虚すら感じる。輝く目をした人たちは美しい。どんなに化粧をし着飾ろうとも、この輝きは出せないだろう。

美しくカールを拡げる南アの女王・・・仙丈ヶ岳

雲の上に笠雲をまといかすかに富士の頂・・・

山頂にて40分の滞在ののち名残惜しいですが、下山にかかります・・・

[結]
40分の山頂滞在の後下山にかかる。ちょうどこの時職場からの電話。今何処ですか? 山だよ・・。いつもの○○さん電話かけて聞いたけど元気だから・・私がかわりに点滴に行くからゆっくり帰ってきていいよと婦長さん・・・サンキューです。助かりました。今日のペースなら十分に夕方には間に合うだろうがお言葉に甘えることにした。
下山は同じ道を淡々とくだる。2700m付近で60歳くらいだろうか、超軽量装備のクロスランナータイプのかたが登ってゆく。T−シャツとゼッケンのようないでたち。ゼッケンに”やまなし”という文字があるので地元のトレールランナーで日帰りの練習中だろう。わたしと違ってまさにカモシカのような足である。この方は相当鍛えられた体型で本格的なクロスをやっているのだろう、モチ日帰りにちがいない。その他にも途中で結構な人数の方が登ってゆく。意外と人気があるんだなこの尾根道・・・当然この小屋を利用して登る分には極めて普通の登路である。

頂上から8合目御来迎場にかけてはこのような花崗岩のオブジェが至る所に林立しています。この巨大な造形がどのようにできたか・・・考えるだけ無駄な感じです。自然の造形の凄まじさを感じます・・・・ 七丈第二小屋です。このすぐ下に第一小屋があります。第一小屋は唯一の営業小屋で、登山道沿いに流し台が設置され、蛇口から冷たい水がえられ貴重な中継基地です。
この時間からだと七丈小屋に泊まるのであろう。学連系のグループが巨大な80リットルザックを背負って無言で登ってゆく。この急斜面・標高差を・・大変そうだ。30kgはあるだろう。下りが私にとってのネックだ。案の定2200m位から右膝がガクガクとなった。残り1400mの樹林の下りさえも膝を痛めつける。サポートタイツだけで膝サポータは持っていない。耐えて降りるしかない。手前の責任は手前で返せ・・・山の掟。だましだまし、下る。予定よりかなり遅れ気味。4時間を要した。休憩も多かったが、10時間40分の荒行であった。五丈小屋で休憩している単独女性に何処から何処へ・・・と聞かれ”日帰りです”と答えると”日帰り?!””修業ですか?”と・・”そうです”と答えた。まさに修行僧の心境である。さらに登りの途中ですれ違った、下山中の女性グループを下山時に追いつき、そこで色々とおしゃべりも進み、なごんだ感じでの下山であった。”登りですれ違った方ですよねもう降りてきたんですか??・・”

避難小屋程度の五丈小屋です。中は入ることは出来ますが、入り口は封鎖されていますので倒壊注意です 登山口のつり橋を渡ります。家族連れが大勢水遊びをしています・・・涼しげです。こっちはヘロヘロです

登山口となっている竹宇駒ヶ岳神社。能楽堂のような作りです。ここで能が披露されるのでしょう。 13時40分:駐車地点着。深夜の静けさがウソのようです。満車です!

最後は膝を引きずるように降りてくる。13時40分。予定を40分オーバーしてしまった。駐車場は白州名水公園で遊ぶ、家族連れ・カップルで大盛況・・・夏休み最後の日曜日だからね・・
この甲斐駒が岳黒戸尾根コース・・・南ア独特の長く深い樹林のアプローチ、山頂に程よい岩稜、小さな登り返しも多く、苦労・苦労の末に一気に苦痛から開放される、玄人好みの道・・・馬場島〜剱岳は比較的入山者が多く整備もしっかりされていることなどもあり、困難さではこれを凌駕するコースと思う。ネット上を検索してみると、剱やこの甲斐駒、西穂-奥穂-新穂日帰りなど急登・難関と呼ばれる所にあえて挑む人たちも多い。本格的に登っている人で、この黒戸の登り4時間30分、下り3時間30分・・・という記録もあった。まあ、他に探せば上には上がいるのだろうけど。別に記録を樹立しようという気は毛頭無いが、自分の限界点を知ってみたいというのは、必然だろうと思う。

今回の山行・・・山から遠ざかっていた7-8月の2ヶ月間分の体に溜まった毒が一気に吹き出した一日であった。帰りの高速で、眠くてまっすぐ走れなくなり、PAで1時間仮眠し、無事7時に何事もないかのように帰宅した。

今回のようなひたすらにグランドアップで登りあげる厳しい山行では心が真っ白になり、一切の雑念が消えてゆく感じがする。昔の修験者もこんな感じだったのかな?山登りは楽しいが、ただ好きで登っているだけでもない。時に何かに迷いが生じた際、必然的に困難を求めている。山登り・・と言えば健康的なようであるが、実際はそうばかりでもない。山頂にいると心が一旦リセットされ、もう一度クリアーな気持ちになりスタートラインに立てるような気がする。あんまリ、こんな事ばっかりしていると本当にパンチドランカーになってしまうかな・・・ちょい複雑。

蕎麦屋訪問:〜山梨県編〜

1件目:手打ち蕎麦&coffee One Mile
山梨県北社市白州町白須8208-1・・・尾白川渓谷から少し町側に戻るとペンション風の建物があります。

二八の手打ちです。蕎麦の角がしっかり立ち、適度な弾力とはごたえもしっかり目です。好き好きはありますが、つゆとの相性も良く、私的には○です。いわゆる田舎十割系が好きな私でも癖無く戴けました。そば湯は別製のポタージュ系です

2件目:山梨 長坂  翁  山梨県北社市長坂町中丸2205

ウウ〜〜ん。ここまで来たンだから折角・・・有名な山梨翁に行かないてはないでしょう。今食べてばっかりですが無理してもゆきます!!と地図を手にクルマを走らせます。営業時間は3時まで。必死にクルマを走らせます。言わずと知れた名店の翁。高橋氏が打つ蕎麦は絶品とのうわさ。現在店主は別の店の出店でここは弟子に任してあるようです。今回食べた蕎麦は、普通のざる。田舎はかなり太切りのようですが売り切れでなかったのが残念。肝心のざるは・・引きぐるみは少なくサラリとした上品な蕎麦です。ただし、切りがばらばら! くの字型に繋がった蕎麦や細くてブツブツ・かと思えば太くぼつぼつ。わざとこんな切り方??と思うほどです。蕎麦自体はまずくはないのですが。これでは田舎十割は期待出来ないかも・・・と感じてしまった。つゆはサラリとしたかつおのかおりがいいけれど、残念!何だ、翁ってこんなもの?との印象でした。時間的に閉店間際だからきれっぱしの蕎麦だったのか? 弟子の腕が悪いのか? 

角がしっかり立ちはごたえ感もあります。まずまずの出来栄えの感触です。 よ〜く見ると細かったり太かったり・・・ばらばらに切りそろえられて?います。有名店というレベルで評価すると、厳しい出来栄えでした

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