【No.】【日時】2007/02/25(日) | |||
【山域・山名】北アルプス南部:乗鞍:剣ヶ峰3024m | |||
【コース】岐阜県高根村阿多野郷集落〜橋場〜大洞〜中洞権現の尾根〜屏風岳〜大日岳(奥の院)〜剣ヶ峰 | |||
【山行形態】山スキー/日帰り/ピークハント/ピストン 【メンバー】操 潤 単独 【累積標高差】1800m 【行動時間】12時間 【天候】晴れ〜曇り〜1500-2000mは雲〜3000m付近は晴れ 【お勧め度】:景観★★★:滑走難度★★:滑走快楽度★★:登高難度:★★☆ ※天候・雪質の状態で滑走・登高は変わります |
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【行動概要】 乗鞍剣ケ峰は乗鞍高原スキー場から入れば約5時間の行程で登頂出来る。普通はこのコースが一般的だし、特にスキー目的ならなおさらこのコースがお勧めですね。しかし、山やとしてはこのコース人が多くわんさか人が並びそこら中はシュプールだらけとなってしみます。独自性やルートの読などは楽しめません。やはりここは変化に富んだ乗鞍南面からのアプローチがよろしいのでは・・・・・と半ばひねくれたコース設定です。乗鞍南面からは八方に広がった尾根が様々なコースを発想させてくれる場所でも有ります。 今回は岐阜県高根村:阿多野郷集落 橋場から大洞〜中洞権現の尾根〜屏風岳〜大日岳〜剣ケ峰の往復を企画(実は今期3回目のトライです。一回目は雪が少なく取り付けず、2回目は時間が遅過ぎて偵察のみ、3度目の正直の今回です)。雪質・・・森林限界以上は完全なサンレイクラストとウインドクラスクラストと硬いシュカプラ。スキーアイゼンが刺さりません・・・森林限界以上はスキー担ぎでアイゼン歩行となりました。途中の樹林帯は上部からやや重パウダー〜重湿雪〜モナカ〜ザクザクでした。 朝5時30分飛騨側源流である阿多野郷川が流れる:阿多野郷 橋場 発。中洞権現の尾根をたどって、剣が峰を目指す。林道からは遥か彼方に剣が峰が望める。約4時間で2200m地点。まだまだ先は遠い・・・目標は12時に山頂だが、前日に10kmのクロストレーニングの筋疲労と睡眠1時間はさすがに堪えた・・・ペースはどんどん落ちて、さらに森林限界で何度かホワイトアウト。あきらめも考えたがその後天候は回復。とにかく山頂を目指す。12時30分。7時間でようやく大日岳3014m山頂着。体はすでにボロボロ状態。山頂にスキーデポ。ここから一旦下って鞍部に降り剣ケ峰に登り返し。乗鞍高原側からのスキーヤーとツボ足が4名ほど登っていたのが見えた。何とか13時30分に山頂着。剣ケ峰まで8時間もかかった。帰路はもう一度下って大日岳に登り返し。もうヘロヘロ。クラスト斜面はスキーで滑るのはかなり危険。ツルツルの氷の斜面が真谷に向かって流れている。コケたらヤバイ。この氷の斜面は浅田真央ちゃんでもビビるよキット。・・・・・・・ |
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直線距離約10km、標高差1800mの結構なロングコースである。南面特有の重雪〜クラスト〜アイス〜など雪質の激しい変化がどのような試練を与えてくれるのか?昨年は右側の野麦の森の尾根経由で快適な登高・滑走を経験しただけに今回のコースも期待が大きいが、前回より、距離/標高差とも大きく森林限界上での行動も長く、天候が崩れるとホワイトアウトの危険がある。 | ||
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2007年2月11日(日)偵察時の写真:雪が降っていた日 朝5時30分発。阿多野郷集落:橋場・・・ここにはその名の通り橋がありここを渡って民家の横を通り抜け林道をすぐに右に折れて約300mで傾斜の一番ゆるそうな沢地形に取り付きます |
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2007年2月11日(日)偵察時の写真:雪が降っていた日 沢地形をつめさらにプラトーを右に、また傾斜が出てきてさらにプラトー・・・そしてまた傾斜を越える。ようやく標高1800m付近の見晴しの良い避難小屋跡?に出ます。 |
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2007年2月11日(日)偵察時の写真:雪が降っていた日 1800m小屋跡正面にはこのような小雪屁の出た尾根をつたいます。 |
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そして右手には・・・・なんてことでしょう!!見事な円錐形の乗鞍岳山頂方向(左:屏風岳、右:大日岳)が望めました!!あそこまではるかな距離・・・今のところ快晴ですが、岐阜県側(左側)からはどんどん雲が迫っているのです。天候はこの後いかに・・・この写真は2月25日当日のもです。先日の2月11日程ではないですが、この日もノートレースであり森林限界上まで延々の靴ラッセルが続いた |
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1864mピークを過ぎ何回か緩急の斜面を越えると緩斜面帯を登ることになる・・・ここからがこの行程のハイライトである。樹林を進み森林限界まで遥かに進むのだ。 | ||
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気持ちの良い切り開きもうすぐ森林限界を越える・・・この辺りはまだまだ天候良く気分はハイ! | ||
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背後を振り返ると・・・南面アプローチの証。御岳全貌が目に飛び込む!天候はまだ良好!(しかしこの後約1時間後には瞬く間に雲が湧きこの光景は消しさられてしまった)この後標高2000-2300mの付近でガス(雲の中に入って)ホワイトアウト寸前となった。森林限界に出るのを諦めようと思っが山頂方向が晴れているのがちらっと見えたので、一気に登ることとした。樹林帯のGPSログはズタズタだが、森林限界上は補足は良好で、なんとか軌跡は追えそうだ | ||
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森林限界を越えた。2662.2mポイントからさらに上部:千町尾根からの登山道を合わせる中洞権現からの山頂方向。右に大きく真の谷を巻く。左のピークが屏風岳、右が大日岳(奥の院)。まだ遥か先のように見える・・・雪面はこの辺りからかたいシュカプラに覆われてくる。ところどころアイス斜面。 | ||
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風がないのが幸いであるが、この辺りからは全面アイスバーン。場所によっては透けた氷が覆い、とてもスキーエッジの刃がたつものではない・・・テカテカの氷の斜面を見てしますとさすがにびびる。バイルガ欲しくなってしまう・・・ | ||
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この辺りから、すかさずアイゼン歩行に切り替えることとする。クトーでも登れないではないが、クトーが刺さらないため、半立ち状態の中途半端な足下となってしまい、歩き難いことこのうえない! | ||
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屏風岳・大日岳鞍部を越えるとすぐに大日岳山頂だ。しかし剣ガ峰には一旦下って登り返しがある。疲れてくるとずいぶん大きな登りのように感じるが実際には20-30m程度の登り返しのはずだ・・・・ | ||
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そしてようやく剣ガ峰山頂3026mである。予想以上に時間がかかり、ここまで8時間もかかってしまった。当初は7時間以内で登る予定であったが、足の状態は最悪。体調も悪くいつもより心拍数がかなり高くなっていたように思う。 | ||
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剣ガ峰から朝日岳からの稜線。右端に肩の小屋。肩の小屋からが通常の剣ガ峰への登路である。 | ||
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山頂で15分滞在後、下山開始。予定時刻を1時間以上遅れている。ガスが急に涌き雪酔い状態で転倒して案の定飛び出している小さな岩に足がヒット!怪我は無かったがもう滑るのは諦めて、アイゼン歩行にする。結局担いでいるほうが多かった!さらに・・・下りの氷に埋もれたハイマツ帯で足が取られて、知らない間に左アイゼンが紛失という最悪のパターン。 | ||
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何とかクリアーして降りてきたが今度はルートロスト!GPSが有ったので助かったが、無かったら遭難に近い状態か・・・1時間近く膝ラッセルのトラバースで何とかルートに復帰。駐車地点についたのは6時前。あと30分遅くなっていたら完全に日没だった・・・体調管理がまずかったです。アイゼン紛失はかなり反省です。結局12時間かかって剣ケ峰往復したがもうボロボロの状態で下山です。昨年の野麦集落の方が素直でした。山スキーとしてはマニア以外お勧め出来ませんねキット。途中の樹林は気持ちのよい尾根ですがルートが長く雪の状態ではラッセルもかなり厳しくなります。上部森林限界上はハードなシュカプラとアイスバーンで気象状況によってはアルパイン系ルートと考えた方が良いでしょう。下りは南面独特の重雪滑走でこれまた疲れます。 | ||
今回の収穫は??・・・厳冬期の乗鞍岳山頂を南面からのロングアプローチで登頂できたこと。 そして、・・・・・中版カメラ(FUJI GA645)を持っていったので、厳冬期乗鞍のいい絵が撮れたかも・・・という淡い期待だけです。 【山行後記】先日の乗鞍のGPSログを見てみた。どこで迷ったのかや、登行ペースをチェックしようとか利用価値は大きいが、今回は特にログ軌跡がズタズタである。修正を加えてもきりが無いのでやめた!このエリアは濃い針葉樹林帯であり往々にしてこのような軌跡となってしまうのですが、今回、樹林の中での彷徨いはこのズタズタのログ軌跡に翻弄されてしまったと言ってもいい。一体今自分はどの方角を向いているのか、あせりでコンパスを取り出すのを忘れてしまった。』やはりこんな時はもっともシンプルな方法で、地図・コンパス・高度で地点を割り出すのがもっとも効果的である。もう一度原点に戻って反省しなければならない。 |