【No.20】【日時】2007/06/17(日)
True Final! 今シーズンの集大成を目指して。白馬2号雪渓・旭岳東面クラシックラインは攻略できたか!?
【山域】白馬岳2932m、旭岳2863m
【コース】猿倉−白馬尻−大雪渓−頂上宿舎上部稜線分岐−旭岳山頂・東面ルンゼ滑走−白馬岳山頂-2号雪渓-大雪渓-猿倉
【場所】長野県 白馬村 白馬三山
【日時】2007年 6月17日(日)
【標高差】1700m+150m(滑り込み分)、行動時間:8時間
【メンバー】操 潤 単独
【天気】晴れ

【私的お勧め度】滑走快楽度★★★☆:景観★★★、滑走難度★★★☆:登高難度:★★  
(※☆〜★〜★★★:三つ星評価;天候・雪質の状態で滑走・登高難度は変わります)

先週は仕事で東京・・・今週はいきなり梅雨の中休みで天気予報は全国的に晴れマーク!ならば行くしかないでしょう・・あそこへ!というわけで、前日6月16日土曜日仕事を終え夜8時に岐阜市内発で、今シーズンこれが真のファイナルと決め、今シー
ズン最初で最後の白馬エリアへ。豪快に締めくくるべく選んだ斜面は旭岳東面と白馬岳2号雪渓である。

今年の大きなテーマとして山スキーの可能性を広げるべく、急斜面・ルンゼ滑走を視野に入れて活動してきた。今回はその集大成として今シーズンラストを飾る白馬エリアで代表的なクラシックルートの2号雪渓とともに金沢:早川氏のご推奨の旭岳東面もセットで楽しんできました。天候・雪質・ルンゼコンディションも完璧と感じましたが結果はいかに?

説明はいりませんね。はい・・当たり前のルートです。

天気は上々!さあ頑張ってゆこう!

5:30猿倉発 スニーカーで快調に歩く
6:00 白馬尻 スニーカーから兼用靴に変える。雪はしっかりしまっておりこのままつぼ足でも十分と判断し本日は一切シール歩行はしませんでした。ここから雪は切れることなくずっと山荘まで繋がっていた。落石は小さい石が目立つ程度。しかし登り行程で3回くらい20-30cm大の石が転がり落ちてきた・・・ビビリながらの登行。

いきなり飛んで杓子岳・・・相変わらず尖ってます!快調に高度を上げる。

8:00岩室付近通過

頂上宿舎上部稜線からは剣がくっきりと!最高の天気ですね。気分はハイ!

旭岳山頂で背景には立山・剣が見事であった。

9:30 旭岳頂上:ここから見ると既に本日と思われるシュプールあり。手前から斜めに入っている。

旭岳のDrop Pointはどこからにしようか?右岩峰の向こうは雪庇が大きく発達している。最近はあらゆるところから滑られているようだが、初めてなので素直に中央から滑り込むことにする。

途中からトラバースに入る。安全地帯から見上げ。意外に直線的に滑り込めた。緩みすぎザラメでかなりテールスライドして切れのあるターンは全く出来ないが、そんな贅沢は言ってられない。コケても止まるくらいのいい感じの柔らかザラメであったことを付け加えておきたい。(でもコケたらズルズル下まで落ちまっせきっと・・・)

白馬岳山頂より旭岳東面を望む。滑走ラインが解るようにトーンカーブなどフォトショップで画像処理してあります。

中央から飛び込んだのが私のライン途中ですぐに写真左方向にトラバースしてますが・・・

先行者の一条のラインは下部まで滑り込んでました。

10:05 旭岳山頂。山頂から中央のルンゼ滑走。右端の雪庇部分からもラインが引けるようだが、初めてなので無理は出来ない。正攻法で真ん中のいちばん広いラインを選んだ。

最大斜度から飛び込むこととする。降り口が推定45〜47度くらいですぐに40度前後の斜面になり快適。あまり滑り込むと登り返しが堪えるので、適当に左にトラバース。

10:30白馬岳山頂に向けて登り返し。
11:15白馬岳山頂にて。主稜をのぞき込んで感心したり・・・
11時45分2号雪渓上部に移動しもう一度降り口を確認してみた。最上部からはツボ足ではなかなか際まで移動できない。雪渓最下部の岩のすき間にエントリーポイントもあった。ここからだとずいぶんと安心感がある。どうしようか?どこから入るべきか?初心貫徹か!下手に考えを甘くするとかえって途中で気持ちが揺らぐので、思い切って最高点から見えない斜面をなめるように斜滑降で入り雪の段差と岩の間をトラバースする作戦で行こうと決定。さ〜〜〜ガンバで行きますよ・・・・

11:45 2号雪渓取り付き・・・

次がいよいよ大本命の2号雪渓。この威圧感は今までのルンゼの中では群を抜いています。行く手を遮るかのような岩の出っ張りがその恐怖心をあおります!

ケルン横から2号雪渓を観察相変わらず厳しい斜面とまんなかの岩は邪魔だな〜〜雪庇こそ張り出していないがやや雪面がハング気味。中央から入るのは難しそう。右手最上部から直下の雪の段差の下をトラバースするのが一番安全か。写真左したの端に雪壁を切り崩したようなエントリーポイントがありました。ここから入ればかなり安全だが、せっかくの2号雪渓なので、ここは最上部からのエントリーとした。

究極案:緑のライン;これはさすがに却下!!でした。怖すぎます。最初にまっすぐ下が目に飛び込むのはバンジー状態です。こんな根性は無いです。

上部より2号雪渓を覗く・・・お〜こわ〜下が見えない。でもせっかくの2号雪渓だ。最高点から入りたい・・・・

(青線)先行者は雪渓奥の岩陰から手前方向に斜めにエントリーしたようだ。つい最近のシュプールのようだ。自分は(赤線が)ケルンから見て最上部がいちばん斜面が安定していることを確認してはいたが、出だしは下が見えない状況でエントリーしかし一旦スキーさえ履いてしまえばむしろ恐怖心はなくなり、スキーソールと雪がしっかりコンタクトしている感触が伝わり、行こう!!と言う気になったのです。スキーを履いてわずか5秒後には滑り込んでいたのでした、その瞬間自分でも意外なほど落ち着いていたと思う。自分でも初めてですスキーを履いた足が雪面を感じ取れたのは!

降り口を観察したが中央はかぶり気味で70度くらいの斜面ですぐ下の雪に小さな亀裂があって、そこでつまずくと大変!一番右端に雪庇を崩した跡があり岩の横を回り込むとすぐに良さそうな降り口があり、恐らく本日のものと思われるシュプールはここから出ていた。ここからは安全な斜面のように見えるが、ここは思い切って一番最上部の地点から飛び込むことに決めた。こけたら10m下のガレ場に突っ込むだろう!慎重に雪質を確認。快適ザラメ(緩みすぎ?)深く考えずにゆっくりと斜滑降から入る。最上部のかぶり気味の雪庇をくぐるように右端の比較的雪の安定した斜面までトラバース。一旦この先行者の下降点でトラバースラインを確認し、斜度が50度くらいに緩み、ようやくターンを決める。2ターンで急斜面の恐怖から開放され、その跡は旭岳東面と同じくらいの比較的安定したザラメの縦溝斜面を快適に高度を下げる。始終先行シュプールがあり、初2号雪渓でありましたが大変励みになりました。途中で滝が出たときの巻も踏み跡があり大変助かりました。単独だったので心強かったです。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

解りますでしょうか?上部の雪のたれた部分と岩の間をすり抜けることが出来ました。ピンポイントでラインをイメージしてそれに綺麗に乗っていた!でもさすがに心臓バクバクで喉はカラカラ・・・・今日いちばん緊張を強いられる斜面でした・・・失敗すれば右下ガレ場に突っ込んでしまう。上から見るのと斜面上から見上げるのとでは、視覚的にもかなり違いますね。ここまで来ると俄然安心感が出てきます。一気に2ターンしてしまえば、もうあとは普通の40度くらいの滑らかな斜面の急斜面になります。

下部安全地帯からの見上げここからみるとかなり雪庇が張り出していますが、上部はこんな感じではなかったですね。みる位置によってかなり違いますね。

所々にシュルンドが出てますから適度にスピードを殺しながら・・・写真を撮る余裕もでてきた.。上部からは想像できない広々斜面です。後は、どこまで雪が繋がっているかが問題です。しかし本日のものと思われるシュプールが一条あり・・・アルペンのジャンプターンではなくテレマークターンか??旭岳東面もやや大回りターンだった・・同一人物のような感じ・・・みんな同じコース設定で楽しんでいるようです。

どこまでも吸い込まれる様な快適斜面。ただし石が目立ち始め2年目のスキーはかなりののダメージを追ったがまあしょうがない。危険地帯は脱出した。縦溝が少し気になるが滑走には大きな障害にはならなかった

こんな広々とした感じでした。

このあたりで水が出ていたので恐らくエキスパートであろう先行者のトレースを使わせていただきました

草つき斜面を慎重にトラバースし、隣の雪渓から大雪渓に見事合流

大雪渓に合流して・・・観光客らしい若者グループ。軽装なので途中までだろうが・・・外人さんがいました。NOVAの講師でもしてそうな感じの外人さん?ハイキングシューズだけでここまで上るのも大変だと思った・・その他にも若いカップル・中高年ハイキンググループも・・・みんな元気である。

猿倉は夏の暑さです・・・・

12:45白馬尻

13:15猿倉

13:55八方温泉

と言うことで、いずれは白馬鑓中央ルンゼも行ってみたいと下界から観察しつつ、調子に乗ったりしながら帰りの途に着きました・・・・


14:55八方地区の某所で蕎麦を食べるが・・・不味かった!店の名前は伏せときます
20:30岐阜着

本格的なルンゼ滑走は前回の毛勝南峰ルンゼと今回の旭岳と2号雪渓が初めてですが、ほとんど度胸一発といった感じででした。単独でのルンゼ滑走はあまりお勧めできませんが、意外に冷静に滑走できましたし、ドロップポイントもあまり考えずにひょいっと飛び込んでしまいました。さすがに2号の取付点は雪庇・・・というよりは斜面がかぶり気味なので慎重に降り口を選ぶことが必要と感じましたが一番上部の位置からの方がきわどい斜面を斜滑降でパスできるので安全と感じました。しかしながら危険な斜面であることは間違えないです。充分な準備とコンディションの見極めが必要です。以上初2号の感想です。

今回はコンディションにも恵まれ十分な成果でした。これで今シーズンの山スキーを終えることが出来ます。次期シーズンもよろしくお願いします。

【注】本コースは危険度の高いコースであり、その時の雪の状態で難易度は大きく変化します。十分な情報と判断が要求されますことを付け加えておきます。ここでの情報は筆者の主観によるものでありガイドの役目ではないことをご了承ください。山で生じた不利益はすべて本人の自己責任のもとでの行動に負うことをご理解ください。

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