一昨日の奥穂高山頂:直登ルンゼの滑走から一日を挟み、再び新穂高の地にいる我らじゃに〜ず中年隊・・・・シーズン始めごろ、突然の思いつきで暖めてきた?大槍小槍スキー&クライム、アルペンダンス踊り隊?ワンデイツアーを今日まさに決行しようと”我らじゃ〜に〜ず中年隊”は新穂に集結していたのだ。いつもの装備に増して、ザイル50m・登攀具・クライミングシュースなどを装備して、ずっしりと重たく肩に食い込み、延々と雪のまばらな飛騨沢を詰め上がり、槍ケ岳に向かう。深夜2時にいつものごとく完全寝不足状態で(前夜1.5時間の睡眠)取りつくこととなってしまった。飛騨沢はいつものごとく薄暗く寂しい・白出し沢では前日の雨の影響か轟々といつもより多い水が流れ恐ろしさに拍車をかける。弱点を突いて、四つんばいになって渡るが篠さんは足がハマッタようで中まで濡れたらしく、少し嘆いている。でもここは心を鬼にしてそのまま先を目指す・・雪の少ない夏道沿いに進むが滝谷でようやく雪が繋がるが、凍りついたデブリが激しく行く手を遮る。シールは当分使えそうにない・・・(結局山頂までクラスト斜面が続き一回もスキーは履かなかったけどね)重荷に耐えゆっくり進む。槍平通過・・・2張りのテントあり。ごそごそと何人かが動いていた。宝の木付近通過、千丈沢分岐、飛騨沢上部大斜面はクラストしている。滑ったら下部まで止まらない・・・慎重に行く。2800m付近で上空に県警ヘリが飛ぶ。この時間の旋回は監視ではなさそうだ。事故か??とりあえずパトロールご苦労様と深々とお辞儀をした。氷ついた斜面・・・油断は出来ない。ヘリのお世話にならないように慎重に。軽量化のためのアルミアイゼンとアルミピッケルを凍った斜面に軋ませ進む。風が強く気温は低い。昨日はここでも雨〜ヒョウだったろうからレインクラストでテカテカ光っている。
風が強くダウンフォースとなり体が押し戻されそうになりながら何とか飛騨乗越から肩の小屋前に出た。空は青空で明るく5月晴れなのだが、風が・・・小屋前に3名の登山客あり。うち一人がおもむろに、
スキーでどこを滑るの?と聞いてきた。
新穂から来たので今日中に飛騨沢を戻ります。
そうか。さっき槍沢に滑り込んだ人が滑落したよ・・・死んだようだ。ヘリが運んでた
・・・とのこと。あまり聞きたくないないようだが、山での一瞬の油断が死を招くのは誰もに課せられた宿命なのだ・・・・気をつけるしかないな・・・でもいつも思い続けることは自分だけは決して死なない、死んではいけない・・・という強い執念と集中力が必要だということ。
さて、風は相変わらず強く舞っていても状況は変わらない。新穂からここまで9時間かかった。重い荷物を担いだ割にはまずまずのスピードだったが、この後、小槍登攀は時間的にも気象状況も厳しい。とにかく大槍を往復することにするが、この大槍でさえも中途半端な雪つきと、ガチンコアイスのミックスで、決してよいコンディションではない。特に下りでは肝を冷やす場面もあった。しっかりピックを打って三点支持を守る。こんな事なら買ったばっかりのアイスバイル持ってくるんだったと思うが・・・・後の祭り。
1時間で大槍を往復して小槍を観察するがアプローチでさえ厳しい雪壁が有り、ロープフィックスが必要かも・・・時間は残り少ない・・・・残念だが今日の状況での小槍登攀は我々の技量・装備では危険と判断し、後ろ髪引かれる思いで、小屋を後にする。滑落のあった槍沢は十分に陽が当たりずいぶんと緩んだだろう。きっと朝の7時に滑落したとのことだから相当に凍りついていたに違いない。もう少し待てばよかったのに・・・飛騨沢側もかなりのガチンコアイス斜面だが、慎重に肩の急斜面トラバースをこなし飛騨沢に滑り込んだ・・・・オットその前に肩の小屋のトイレに入ろうして、かなり慌ててバックルも閉めずトイレ前の斜面を滑走したら見事にトイレ小屋前でずっこけて、小屋のオネーサンに無様な滑走を見られてしまった(^.^;)。きっとオネーサンは”こんな輩がよく槍までスキーできたな・・”と思ったに違いない・・・(^.^;)アセフキ吹き・・・
でも意外と根性のある私はどんなにガチガチだろうとも己を信じて小屋前の槍沢側側面トラバースをスキーで滑り通した・・・やや堅くて、かなり怖い斜面だったけどね・・・後は飛騨沢の広大な斜面を絶対に滑落しないように慎重にこなしながら・・・こういうときにピックつきストックセルフアレストは安心感がある。アイス斜面の場合はぜひダブルセルフアレストでもよいかも知れないが、引っかけてケガしたり、ウェアを破いたりすることもあるので注意・・・・慎重に滑走し2700m以降は快適ザラメとかわり豪快滑走を楽しんだ・・・・登り9時間下り1時間の一瞬の快楽である。
後半の滝谷以降はまともに滑る場面はなくなり、根性スキーとなるが、雪を繋いで白出し直下までは何とか滑る事が出来た、操は白出しにデポしたスニーカーに替え小走りに駆け降りるが、篠崎さんはテレブーツのままでもかなりの早さで16:00下山と相成りました・・・
日帰りロングルートとしてはもはやスタンダードとなった、槍ケ岳・・(スタンダードではないよな・・やっぱ遠いよ)さすがに小槍登攀を組み合わせれば、かなりの困難ルートであり、こんな企画を思いつく我々もかなりの変わり者であることは否めないな〜〜ねっ篠さん!
でもまたリベンジは、夏につきあいますよ・・・小槍の上でアルペン踊りを踊るまではね・・・・
さすがにこの日岐阜に帰って仕事をしようとする気にはなれず、直行で自宅に帰ったが、不眠症の私は、結局3時間しか寝ずに仕事に向かうこととなりましたとさ・・・・
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