【日時】2008/06/01(日)

最初で最後?!白馬鑓ヶ岳中央ルンゼは時期外れのクラスター爆弾ゾーン。こんな山行をやってはいけません(反省

【山名】白馬鑓ヶ岳2903m
【山域】後立山連峰
【コース】猿倉〜鑓温泉夏道〜小日向のコル〜湯入沢出合〜鑓温泉〜鑓沢〜白馬鑓ヶ岳〜中央ルンゼ〜小日向のコル〜長走沢〜猿倉
【山行実施日】2008年06月01日(日)
【メンバー】操 潤 
【装備】操:FISCHER X-PEDITION150cm、ディアミール、ガルモント
【天気】晴
【行動時間】9時間45分
【累積標高差】約2070m
【水平移動距離】約16km
【私的お勧め度】滑走快楽度★★:景観★★★、登高難度:★★★ 
(※☆〜★〜★★★:三つ星評価;天候・雪質の状態で滑走・登高難度は変わります)
行動概要

白馬鑓ヶ岳中央ルンゼはたいそう怖い場所らしい・・・怖いモノ見たさの懲りないおじんは単独でとうとう、ここに来てしまった・・・別にここを滑らなくても特にオマンマの種には事欠かないのではあるが・・・でもやっぱり覗いてみたい怖い場所・・・・そうここは白馬鑓ヶ岳山頂からダイレクトに落ちるルンゼなのである。首尾よく滑ることが出来たのでしょうか?・・・・・

かろうじて中央ルンゼを滑りはしましたが、いろんな意味で勉強になりました。時期の見極め、事前に雪面の状況がどれほど予想できたか? 単純に斜度だけでいえばゲレンデの上級コースですが、もろい岩壁に囲まれた、そこは”でいんじゃらすなゾ〜〜ン”でありました。ミイラとりがミイラに・・なりそうな危険な気配のルンゼでした。それでもあなた行きますか??時期選択は大切ですね・・・・


全体図


山行(参考)タイム 
猿倉 4:20AM
鑓温泉コース夏道入口 4:59
小日向のコル 6:32
湯入沢出合 7:00
鑓温泉 7:30〜
鑓ケ岳山頂 10:45
滑走開始 11:35
下部安全地帯 12:07
湯入沢出合 12:35
小日向のコル 13:45
長走沢 14:03
猿倉 14:25
帰宅 19:30

結論・・・大げさですが、何とか無傷で帰ってこれた(温泉:倉下の湯に入りながらア〜〜生きている・・・と感慨深く・・)・・・につきます。
まずは、登りは温泉コースからひたすら鑓沢を詰め上がり、この斜面も意外と急傾斜で上部はほとんどアイゼン登高でした。登り上げでスリップ滑落の危険もあり得るので、かなりビビりが入りました。今日の入山者は自分の前には、つぼ足登山者が一人で天狗小屋方面に行ったようで、結局後にも先にも一人旅でした。後続はかなり離れて登ってきましたがガスも濃く、途中で引き返したようです。
滑走は・・・中央ルンゼは極めて劣悪な状況で上部の広い急斜面はそこそこ快適に滑走できましたが、喉の手前から雨の影響でしょうか、強烈に深い(深さ最大で2m・・・平均1m)の縦溝が走りこれに落ちたらそのままボブスレーで滑落か、落石の餌食でしょう。縦溝を外すと雪はほとんどついて無く、特に喉の最峡部は雪が切れて、崖と小さいですが滝が出ており要注意です。最峡部でスキーを担ぎアイゼン装着ダブルアックスの装備に変更中も小さいが落石が来る・・。危険地帯はスキーどころではなく、ひたすら石に当たりませんように・・自分は絶対当たらないはず・・と念じながら。スキーを背負ってのクライムダウンでは、危なっかしい浮き石をすべて落としてから慎重を極めて、なんとか下降しました。もし落ちても2-3mくらいでしょうが、ある程度の転落も覚悟していましたが、恐怖は免れませんでした。やはり単独では、落ちたらただではすまないでしょうね。そしてようやく雪がつながっても、巨大シュルンドが大口をあけており、最深部は5m以上で幅も2mくらいの大物が目白押し。バックステップでのクライムダウン中に一回雪壁が崩れてかろうじて、シュルンドのエッジにスキーが引っ掛かりとまりましたが、危うく落ちるところでした。とにかく最狭部に関してはスキーを履いたまま降りるというのは不可能で、溝を避けながら・・(落ちたら這い上がってこれない可能性もありました)落石は小さいのあり、ちょうどアイゼンはいている最中にブーツにヒットし、一瞬ビビル。クライムダウン中にでかい落石が来たら逃げ場は無いでしょうね。雪が繋がりだして、スキーに切り替えて早く危険地帯を脱出したいと気があせり、途中のシュルンドの陰に隠れて、アイゼンを外している時間が何と長かったことか・・・頭の上からはクラスター爆弾・雪面は四川大地震で断層ができたかの如くの危険な状況です。単独では行ってはいけませんね。せめて上で監視してくれる相棒がいれば安心感は10倍くらいになったと思います・・・・


まだ神様が世の中のために生きて働きなさいよ!と言ってくれた気分です・・・
ちなみに自分は滑走を終えてから約2時間後小日向のコルから見ていたら、2名のスキーヤーが中央ルンゼを滑走していましたが、無事に下りられたでしょうか??(翌日MLを介してちゃんと下山されておりました!!)


1500m以下の雪はかなり消えて、藪も濃く小日向のコルから長走沢への移動はやや困難ですが、何とか移動可能でした。
もう今シーズンは中央ルンゼは打ち止めでしょう。危険を冒して立ち入るのはやめましょう!

総括:落石の危険さえ回避でき、雪がしっかり繋がっていれば、多少の雪面の荒れや石ころをふんでも滑走は可能なコース。今回は単独行でかつ、雪が切れていることまでは考えていなかったのが最大の失態でした。上部斜面と下部斜面はそこそこ快適に滑れましたということだけは伝えておきましょう。

まずは夏道を鑓温泉方面へ・・・猿倉朝4時25分発。鑓温泉への夏道は薮がうるさいが何とか進む。

小日向のコルから鑓ケ岳全貌。ルンゼは雪は繋がっていそう・・・・と思っているが・・・

小日向のコルから朝一はガチガチの斜面を苦労して滑走し、湯入沢出合手前からショートカットしようとしていきなり薮漕ぎ・・・そんなには距離も時間も変わらなかった・・・

シール歩行で鑓温泉通過。ひと気はゼロ

沢つたいに詰め上がる・・徐々に斜度が出てきて意外につらい。ここでアイゼンピッケルに変更し注意して登る

一気にトンで標高2300m付近。鑓沢をひたすら詰め上がるが、意外に斜度はきつい。しかも完全なオープンバーン見下ろすと意外に怖いな・・下は見ないで上だけ見ていよう・・・(-.-;)

雷鳥さんが癒してくれる()ペアでしたけど一羽隠れてしまった。

ここはピッケルアイゼン・・・

あと少しで山頂・・・右側が中央ルンゼエントリー斜面

10:45 まずは無事山頂ゲット

いきなりがスの洗礼・・・滑走に支障は・・

エントリーポイントへ移動しました。ガスの切れ間を縫って一気に行こう。まずは雪崩れテストとして、スロープカット。何とか大丈夫。ズルズル滑るが大きな雪崩れには成りそうもない。

準備はいいかい??

上部快適斜面は一気に通過」。雪崩れたがその上をジャンプでこなせた。

急にガスが出たりするが、迷うルートではない・・・ただし喉は見えない

出たな〜ノドか・・・まだまだ大丈夫。溝の上はジャンプ・ジャンプで

上部広大斜面は快適。斜度は出だしで最大45度平均で35-40度くらいでしょうか・・・。それよりも、左の溝がやや気になりだす・・・・ジャンプできなくなってきたぞ〜〜ビビルな俺っ!

やっぱりビビッてきた〜〜!!

この縦溝さえなければ楽勝にすり抜けれたのに・・・・溝というより断層だなこりゃ!!幅は50-100cmだけど深さは結構あって、当然中は落石がいっぱい。落ちると中を滑ってしまい大根おろし器のごとくケガをしそう・・・

ここからが強烈に狭くなる。最峡部雪が無くなっており、水が出ており崩れそうなガレを慎重にクライムダウン。後ろ向きにコケればそれなりに危険な場所。2mくらいは落ちるかな?周りの危なっかしい浮き石をすべてシュルンドに落としてガバと足場を確保・・・このとき最悪2mは落ちることを覚悟して一歩踏み出した・・・ゆっくりしていると上から小石が降ってくる

喉を過ぎてほぼ雪が繋がったところで一気に行こう。(意外に振り向いて写真撮ってるな〜〜)

だいぶアイゼン下降し安全地帯に入ったところで、シュルンドの陰に隠れて落石に遭いませんようにと祈りながらスキー脱着。シュルンドが崩れたり落ちたりしないように慎重に・・・

細かい石は気にしない・・・気にしてちゃ、上から石が降ってくる・・・

安全地帯で・・・振り返る。このときは少しビビリで震えてましたかね・・・

湯入沢出合でスキーを脱いでほっと一息。シール張ってさあ登り返し!危険な時期の中央ルンゼでした・・・斜度は40-45度で大したことないが。もう少し早い時期じゃないといけませんでした・・・・素人判断過ぎました・・・大反省!!m(_ _)m

小日向のコルから今、下山(滑走とは言えず・・)してきた、全貌を顧みる。右は杓子沢

拡大写真・・上部に二名のエントリースキーヤーあり。下部のシュプールは僕の滑走

長走沢は所々雪が切れていてルーファイ注意

白馬岳は夏の雰囲気。真っ白も美しいけど、いつも来るのは、この時期で、新緑と残雪のコントラストの白馬の景色が大好き・・・

温泉で生きて帰って来たことを実感。大げさか〜〜ここは、素朴な露天のみの温泉ですが、白馬三山が丸見えで最高のロケーション。いまくだった白馬鑓がひときは大きく見える・・・

真ん中が鑓沢。右の鋭峰が白馬鑓。真ん中のひし形が中央ルンゼ。見るからに危険な雰囲気・・・・・

無傷で帰ってきたことだし、お祝いに蕎麦は押さえておこう・・・

二八蕎麦・・信州にありがちな極く普通の家庭系蕎麦。つゆの甘さと薄さが信州らしいか・・・関東系エリアではややウケないでしょう。まあ記念ということで・・・そば湯も普通の茹で汁系で大好きなポタージュ系ではないのがやはりつらい

白馬エリアでは有名な(?)そば神さんでした・・・・白馬鑓中央ルンゼももう来ないと思うけど、そば神さんももう来ないかもね・・・きついか!
【注】本コースは危険度の高いコースです。十分な情報と判断が要求されますことを付け加えておきます。ここでの情報は筆者の主観によるものでありガイドの役目ではないことをご了承ください。山で生じた不利益はすべて本人の自己責任のもとでの行動に負うことをご理解ください。

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