2006年無積雪期山行 ダイジェスト版3

さまざまなジャンルで山に臨んでみます、今年はMTBも積極的に取り入れたアウトドアも加えています。何せ時間が無いので、できるだけ短時間で行動範囲の拡大を企てた結果です。


2006/09/03(日曜日)頑張っていこう!南アの孤高:塩見岳3052m 〜相変らずの深夜速攻山行!〜

長野県大鹿村〜鳥倉林道〜豊口山登山口経由:塩見岳日帰りピークハント・ピストン
温泉:小渋温泉 赤石荘 日帰り入浴500円

天気は最高!深夜に出発して山頂に9時台に着いた甲斐があった!見渡す限りの山並!!富士山〜白鳳三山〜北岳〜甲斐駒〜北ア〜中ア〜南ア深南部の絶景が広がっていた。
10時ころからはどんどんガスが沸き上がってきて景色は半減・・・深夜山行によって最高の時間帯に到着出来た訳だ!ヽ(^◇^)ノである。

本日は山頂で知り合った、豊橋市から来られたS氏と半日を共にすることが出来た。私より後に出発されたようだが速い速い!!山頂同時到着でした。彼はクロスランニング系の山行でこれからどんどん日帰り山行を実行するとのこと。同じような日帰りロングルートを目指すものとして、お互いに共感をもった次第です・・・!

コースタイム:標準コースタイムの6割り掛けの行動計画


3:33AM 鳥倉林道終点ゲート1630m出発
4:05AM登山口取り付き
5:30AM三伏峠
6:00AM三伏山
6:50AM本谷山2657.9m
8:14AM塩見小屋
9:00AM塩見岳西峰通過3046.9m
9:06AM塩見岳山頂(東峰)3052m
9:55AM下山開始
10:25AM 塩見小屋
11:43 AM三伏山
12:31PM三伏小屋
14:15PM駐車地点着

行動時間 10時間50分(休憩込み)
登り   5時間43分 (休憩込み)
山頂   45分滞在 
下り   4時間10分 (休憩込み)

累積標高差 2046m(GPS Data)
累積下降 -1988m(GPS Data)
行動時間 10時間55分
距離 26.29km
沿面距離 26.880km

林道〜登山口取り付き点です。林道歩行は約30分でした

深夜3時頃でしょうか林道から30分登った分岐標識

ようやく明るくなりました

三伏峠小屋到着です

三伏山山頂から向こうに甲斐駒が浮かび上がりはじめ真下。ようやく山に登ってきたなと行った感じです

ようやく塩見岳が姿を現してくれましたが、ぐるっと時計回りに稜線を歩きゴールはまだまだ遥か先です。近そうですがここが半分の場所です。

本谷山で下山中のグループの方に撮影してもらいました後方は北ア方面。塩見岳は右になります

この本谷山から樹林越しに烏帽子岳を臨む。烏帽子岳は三伏小屋から分岐を右に歩くと約1時間の場所にそびえる山です。途中にはお花畑が豊富とのこと

しばし歩くことやく2時間。ようやく塩見小屋に到着です。時間は8時過ぎ。ここから約45−5分くらいの行程です。塩見小屋はこじんまりした静かな場所に立っており、さすがは南アの山小屋といった出で立ちでした。

塩見小屋の少し先からいったん下って登り返して塩見岳へ・・・意外にも時間がかかるところです。

頑張ってどんどん登ります。塩見小屋からは軽い岩稜帯となります。しっかり足場を確かめながら息も切れかけてきますが頑張って一踏ん張りします。塩見岳西峰を越えると東峰は目と鼻の先。そして塩見岳に到着するといきなり富士山の大展望!!

仙塩尾根の向こうに白鳳三山

山頂にてS氏と記念写真の。この日は10時まではほとんどガスが沸くことが無くグルリ360度の大展望でした。南アから見ると日本の真ん中にいるな〜という実感が湧きます

西峰から今いた東峰を臨む

下山中に立ち枯れの樹林越しに夏のような空に浮かぶ塩見岳。

塩見小屋以降でほぼ同時高度となった豊橋からの単独行S氏と帰りがけに記念写真

帰路途中で小渋温泉 赤石荘に立ち寄りました

山間の一軒宿です。日帰り入浴は500円です。

泉質は単純塩泉(だったかナ?)展望はなかなかよろしいです。急斜面の山間にに張り付くような感じです
こうして一日がかりの塩見岳日帰り登山は無事終了です。ガイドブックのコースタイムでは日帰り困難であったが、6〜7割り掛けで計算し、予定通り10時間台で帰還できました。静かな南アですがさすがは100名山・・・思ったより入山者は多かったですね。


2006.10.8-9(1泊2日)
一年振りにテン泊!赤石岳・荒川岳を目指して(長野県小渋川遡行ルートー広河原ー大聖寺平ー赤石・荒川ピストン)

一年ぶりです。昨年9月の北鎌以来のテン泊です。ワンデイ困難であり、以前から羨望のまなざしで見ていた赤石岳周辺の山域を今回はテン泊装備で一気に荒川岳も狙ってしまおうという贅沢プランです。
まずはルートの設定・・・一般的なコース:椹島からのアプローチは、入山までに半日以上を要し、時間的にも1泊2日の日程は困難。そして、この辺の山は東海○○の経営の民有地で(赤石岳の大倉尾根も大倉なにがしと言う財閥様である東京ホテルオーク○の母体の会社の登山道なんですよね!)ここはリムジンバスとか言う、なんだかわからんバスがありしかも東海○○経営の小屋かテント泊予定者じゃないと乗せないとうことなのでまずはパス。やはりここは気合系登山の長野県大鹿村小渋川遡行ー広河原小屋ー大聖寺平で一気に南アの懐に入り込もうという戦略です。

第一日:6時林道終了点;湯折(ゆおれ)ゲートに駐車。ゲートを越え約40分の歩行。川にかかる大きな赤い橋の下にスロープが作られここから降りてすぐ渡渉開始です。
装備は以前にバーゲンで買ったサロモンの水陸両用のジョギングシューズにオートバイで使っていたゴアオーバーソックスを直履き。さらにパンツはユニクロボディーテックのショートスパッツのみ。水温は意外に高く思っていたほどの寒さを感じませんでした。背中には久々の70リットルザックで重さは18kg位なのに喘いでしまって情けなや〜・・・・ダブルストックじゃないととても歩けません!結果的にはストックがなかったらこの行程、川でコケたか、登りの急斜の樹林帯で途中敗退、もしくは、下りスリップ転倒は免れませんでした。

小渋川の渡渉は概ね膝から膝上くらいで、時にお尻の穴付近に水が浸水・・・渡渉箇所約20.感じとしては北鎌遡行の高瀬川と大差ないが高瀬川は何箇所か高巻があったがここは皆無です。水温もそんなに低くはなくむしろ快適。今回は最悪の場合も考えて、一人ではどうにも使えないですがザイル7.9mm×25mももって行きましたが、使う必要なし・・・重りにしかならなかった。6時15分車出発。40分の林道歩行。入溪7時:広河原小8時50分着。遡行時間は1時間50分。

第一の核心は意外にあっさりとクリア。大半は広々した川原歩きでした。広河原小屋で装備の一部(ザイル・水用シューズ・ショートスパッツ・ゴアソックス)をデポ。一息入れて、ここからひたすら樹林の急傾斜の登りが、第二の核心です。

出発してすぐに薄暗い樹林で、いきなりルートをロストしうろうろ・・・結局一旦小屋に舞い戻り仕切りなおし・・・45分の大損。こんどはちゃんと道をたどって尾根に取り付けた、この辺も北鎌っぽい感じ。草むした・・・とかがぴったりの感じ。やはり赤石へのメインルートではなく、サブルートらしく樹林が濃く、踏まれてはいますが滑りやすい落ち葉堆積状態で、でかい荷物装備にはやや堪えます。倒木越えやステップのないスリッピーな斜面、熊が出そうなうっそうとした気配(もちクマ鈴必携ですよ!!)この急斜面に背中の荷物が大いに私をいじめてくれる、最近速攻系登山しかやってない自分がここまでひ弱なのか?!と実感してしまった。でも決してあきらめません・・・・・


大聖寺平にようやく這い上がる
堪えに堪えてひたすら耐えて約4時間で大聖寺平着。ちゃんとコースタイム(昭文社判ヤマ地図:これは最近のものは中高年者向けにコースがかなり甘めに設定されています)は30分以上は切っています(後から調べたらヤマケイガイドブックに書いてあったコースタイムはかなり厳しいよ:誰がこんなスピードで登ったんだ???クマにでも追われたのか??てのもありました)大聖寺平・・・・ここは鞍部で風の通り道である。もちろんテン場には指定されておりませんが、素敵な地ならししたサイトがここにどうぞと手招きしてきました。荒川小屋まで40分の歩行をさぼりこの広々した風の通り道に勝手に天幕を張ったことがどのような結果を招くのか・・・
とりあえずやや強い風の隙をついて一気に天幕をはり周囲を重い石で綱を目いっぱい張り(過去にないくらい石を目いっぱいに使って厳重に張りまくった)この場所は、展望はまったく遮る物がないので最高ですが、何もさいぎるものがないということは当然、風も良く抜けるのです。

小赤石岳稜線から赤石岳本峰 

山頂にて・・風は強烈につめたい

テント設営後一息入れますが、目標1泊で2座を狙うには本日のターゲットの赤石岳に行かなければ始まらない!!アタックザックの軽装で目指す。装備は長袖であるがかなり薄い速乾性シャツ一枚にゴアの雨具のみ。下はよたったトレパンで雨具なし。(どうみても秋山を舐めてるよな・・・北アで結構遭難死があったのに・・・・でもこうなると思って北アに行かず南アを選んだ自分はナイスな選択)

稜線では強風が吹きすさび海老の尻尾がいたるところに出来始める・・・やばいぞこの風・・・天幕がなくなっているんじゃないか??などと心配するほど。足が思うように上がらない、一気にグランドアップだからかなり疲労が濃くなってくるのは当然。最後の持てる力をふり絞って赤石を目指す。途中のフラット部分・下り部分は走る。途中で山頂か!!と思っていたら小赤石と書かれまだ先に山頂がそびえておりがっくり・・・とにかく稜線上は風が強く指先や鼻が凍傷になりかけ・・・ひたすら踏ん張って約2時間で山頂到達。この風の中結構多くの人がいてびっくり。風の中写真をとった。風さえなければ最高の展望です。山頂直下の避難小屋はかなり立派でこの時期の東海○○系の営業小屋はほとんど閉じているのでみなさん避難小屋泊のようです。遠めにみても真新しそうな小屋でした。快適なんでしょうね小屋は。それに引き換え私はあんな風の通り道に張ってしまった天幕が大丈夫か気が気でならず、20分山頂滞在(寒すぎてこれ以上無理!)で駆け足で下山。1時間で戻れた。    

赤石岳より荒川岳

赤石岳山頂にて避難小屋を見下ろす

天幕は無事だが相変わらず突風が吹き天幕が持ち上がる!中に入り、とにかく飛ばされらにように中にも大きな石を四隅に配置した。こんなことなら一層荒川小屋テン場に移動しようかと思いながらあまりにも疲れていたため眠ってしまった・・・約30分寝たか?:5時30分あたりはもう真っ暗でいまさら天幕を移動しようとは思えない。腹をくくってここで一晩を明かそうと決意。とりあえず飯の準備。フリーズドライ米とふりかけ・フリーズドライの中華丼の具・金ちゃんラーメン(プラカップのものは後々カップが役立つのでいつも1個はもってゆく)風が比較的穏やかになりラッキーと思いながら食事タイム。時々風で天幕の床が持ち上がるので湯の入ったカップめんやコッフェル・バーナーがコケないように両手両足口をすべて使い固定しながら何とか食事を終了。

さて寝ますか・・・PM7時・・・不眠症の私・・・お山ではよく眠れるのに今回は風のうなり、天幕のばたつきが怖くて眠れない・・・トイレに出るのも怖いが天幕から半身だけ乗り出して小用・・・スンマセン!外をみると意外にも伊那地方の街明かりがきらきらしている。山深い赤石でもちゃんと街が見えるのか。それに満天の星。明日の晴れは約束されたも同然。ちなみに無粋な話ですがこの周辺は樹林帯や遡行の河川を省きDOCOMOの電波は良好で職場からの緊急連絡には万全でした。

眠ってこの風を忘れよう・・・・救急セットの中の睡眠薬を1錠・・・・30分してもやはり眠れない・・・また一錠・・・まだダメ・・・・もう一錠・・・計3錠常用量をオーバーです!!違反ですよねこれは・・・でもこの甲斐あってかあの強風は耳から消えそのまま深い眠りにつくのであった・・・・
眠りながら”テントが破れませんように・・・” ”明日起きたら静かな秋の空でありますように”
ひたすら祈るしかなかったが睡眠薬大量で爆睡!(ハルシオン0.25mg×3錠=違法ですよ〜〜)

第一日目ヘトヘトになってとりあえず終了・・・・・・

臨時テン場の様子・・・景色・シチュエーションともに最高、そして風は最悪!!

赤石岳と荒川岳の本当に中間部のため景色は最高にいいですよね〜〜
南ア赤石・荒川岳登山第二日目(前半)

3人前の睡眠薬を飲んだ割に寝起きは爽やかであった。此処はどこ?ベットの中?いいやテントの中でした。外気の冷たい風がシュラフのすき間から吹き込むと途端に現実に戻った。そうここは南アの真っただ中!眠い目をこすり起床である。
周囲にはだれ一人いないため隣りのテントの物音なんて皆無である。まずはバ−ナ−でテント内を少し暖め身体を目覚ませる。そして、気になる天気は・・・テントから少し身を乗りだす。真っ暗だが確かに満天の星、きわめつけは風はそよ風!!ピンポ〜〜ンである!今日はもらいである。そうとなればさっさと起きて飯食って出発準備。昨日のアルファ米の残りの半分に既にフリカケとカツ丼のもとを混ぜ込んでシュラフ内で暖めていたため、孵化・・じゃなくてすぐに食べられるのです。くれぐれもシュラフ内で暴発させないように!!
現在朝4時30分:出発は5時前に予定。ヘッデンスタ−トである。月が満々と輝いている。しばらくは荒川小屋に向かってトラバ−ス道を行く。途中でモルゲンロ−トが始まる。
これだよこれ!!テン泊山行の醍醐味は!!山中で迎える神々しい朝。何年ぶりだろうか。昨年の北鎌は最悪の雨であったから。途中で持ってきた小型三脚で撮影。どんどん暗やみが神の色に彩られてゆく・・・・これを神の仕業と言わず何というのか。人類の生まれるはるか昔から営まれてきたに違いない輪廻の世界。
そして、明るくなりつつある道をおしむかのようにそそくさと歩く。荒川小屋を過ぎて後はどんどん高度を上げる。ところがここでトラブルが発生!先ほど三脚を立て写真をとる際、防水バックにカメラ・トイレットペ−パ−を入れていたのだが、荒川小屋で用を足そうとしたら無いのである!先ほどの防水バック・・・ヤバイさっきのとこに忘れた!!でももうお尻は暴発寸前!!どうするよ俺?!?!?これからの時代”ペ-パ-レス”なんて洒落にもならないぜ!最終手段!!そこらの葉っぱを集めてきて丁寧に重ね合わせの技である。一気に開放しその葉っぱはマイペ−パ−となった。何とか成功。紅葉の葉っぱさんスミマセンデス。本日第1の危機を突破である。気を良くしてどんどん高度を稼ぐと途中で荒川中岳避難小屋に泊まったというトレイルランナ−系の登山者とすれ違った(恐らくこの方が後にお世話になるのであろう・・・)本日一番でのすれ違いであり立ち話で昨日大聖寺平でテン泊したことを伝えたのである。この後は登って下ってまた登り・・小さなアップダウンであるが意外にも登り甲斐がありました。

最後は100m程の斜面を登って山頂にひょっこり。大展望!!富士が大きく正面にそびえる。

南アならではの光景。もう何も言うことはない。言葉は不要。ただそこに立ち、自分の足でこにたどり着いたことを実感すればよい。

昨日登った赤石岳が大きくそびえている。今日は一転して風もなく穏やかな朝である。

荒川岳より赤石岳 

富士の麓には駿河湾が光る。伊豆半島までも望める。

中岳避難小屋
北アは・・・厳冬期か?真っ白に化粧した頂が季節の移り変わりを知らせる。御岳・乗鞍さえも冠雪している。こりゃ異例の雪だ〜〜北アは遭難者いるんじゃないの〜〜てな具合。30分の山頂滞在の間に4名ほどの登山者がすれ違った。山座をみんなで楽しんだ・・・・

そして下山。名残は惜しいが下りもまだまだ長い・・・身軽なザックは軽快に下れる。下りも写真撮影をしながら約1時間30分で荒川小屋通過。途中で沢水がとうとうと流れており咽を潤せた。そして先ほどのトラバ−ス道で落としたであろうトイレットペ-パ-入りの防水バックを探しながら歩く。落としたポイントは明らかだがその場所には何も無い。ありゃりゃ・・?誰か拾ってくれたんかな?しょうがない無い時は諦めよう・・・そしてどんどん進んで紅葉の始まったダケカンバの回廊を越え大聖寺平テン泊地に戻る。

テン場出発朝4時50分
山頂着7時15分
山頂発8時
テン場帰還10時ちょうど

そしてテントの張り綱には・・・”トイレットペ−パ−入り”の防水バックがくくられていた、一番最初にすれ違ったトレイルランナ−の方が持ってきてくれたのだろうサンキュ-です!これでシモの悩みから開放されてさらに秋の空の如くすがすがしい気分となった\(^◇^)/
午前10時:大聖寺平・・・・人気は少なく何かこのままぼ−っとしていたいようなそんな最高の天気。雲一つ無い状況。昨日の風の恐怖が嘘のようなうららかな時を過す。今年の私はかなりの晴れ男である。テントを撤収し、出発準備を整える。そしてテン泊地に一晩有難うとお礼をしここを後にする・・・これから樹林の激下りと渡渉か〜〜〜

後半に続く・・・・・・

南ア:赤石岳・荒川岳:第二日(後半)下山~回想編
午前10時:荒川岳より大聖寺平に舞い戻り、名残を惜しみながら天幕を撤収した。
最後まで荒川岳は大きく聳え見送ってくれていたような気がする。

一宿のお礼をし、その地を後にする。標高2700m大聖寺平から広河原小屋1400mまで1300mの下りにかかる。はじめは左に大きな草付きの大斜面を、右には荒川前岳の崩落斜面を見ながらトラバース気味に高度を下げる。ざれた斜面に少し足を取られる。2400m付近の船窪という場所に来るといよいよここから視界は遮られ南ア独特の木の根が大きく張り出した深く濃い樹林に突入である。

時に何度か足をとられストックで体を支える。かなりきつい下りだ。背中の重荷が肩にずしりとのしかかる。下りながらこの急な樹林を良く登ったものだ・・・5歩進んで大きく一呼吸、100歩で立ち止まっていたのがもうずいぶん前のことのように錯覚してしまう。何だろう山登りって?こんな苦しいのにまた来ている。

こんなことを2時間も考えながら、最初に迷った樹林の中の尾根取付に戻ってきた。後は少し平坦路を行けば広河原小屋だ。小屋に出た。

扉が半分開いている・・・クマ鈴を鳴らしていたためか中から人が体を半分出して覗いている。デポした荷物を回収しに中に入ると、2人の渓流釣りの地元の方が休んでいた。私もここで人に遭うとは思っていなかったが、向こうも同じように驚いたのだろう。そういえばこのルートで稜線上以外では誰にも人に会わなかったよな・・・中に入って彼ら初老の方と若者とたわいもない会話を交わす。どこから来てどこへ行って来た?何時間かかった?クマがおるから気お付けな!最近地元の住職がやられて死んだ!とか・・・
こうやって人と話をしていると、ずいぶんと日常に近づいてきたのだな!という印象になった。
彼らに気おつけてな見送られ、最後の渡渉の行程にかかる。初めのような緊張感はない。水量も昨日よりは少し引いていそうだし、わたるポイントも大体わかっている。後は水流の弱点を探しながら・ケルンを探しながら・赤布を探しながら・・・まるで砂場に子供がおもちゃを隠して埋めたものを探すかのような無邪気なゲームのようなものだ。時に石の上をぴょンとはねながら、転ばないように・・・・
下を見ながら歩いているといろんな光景が目に入ってくる昭和30ー40年代くらいにもっぱら売られていたバャリースジュース(バヤリース)の缶:缶の上についてたテコのような缶開け器でプシュと4箇所くらいに穴をあけて飲む缶が地中から半分顔を出していたり、これまた昭和40年代のキスリングタイプの布ザックの肩のショルダーパッドの部分が妙に生々しく生き生きした色調で落ちていたり・・・・

なんてつまらないことを考えながら、中間地点の高山の滝にきた。近付くと30mの瀑流である。なかなか立派な滝だ。
そういう行程をたった一人で楽しんで知らないうちにあの赤い橋の袂に出た。これで終わったな。2日間なのに、なんだかものすごく長い時間をすごし、世の中に舞い戻ってきたような錯覚。そしてたった一人でその贅沢な時間を占有してしまったなぜか罪深い気持ち。(本当は一緒に行こうか?と思っていた相方さんにものすごく申し訳ないような気分でもあった。申し訳なかったねM○N○I○さんm(__)m

橋の袂から林道に上がると、後は木洩れ陽の漏れる林道をゆっくりと湯折ゲートにむけて登ってゆく。そして40分で駐車地点に戻った。下のほうの河川では砂防工事のショベルがゴーゴーと音を立てている。俗世へ完全に戻ったが、この工事も荒れ沢で有名な小渋川の一面なのだ。車の前で喜びをあらわすワンショットを撮って今回の静かな山行を終了した。

このあとはもう一つのお楽しみ・・・温泉・そしてあわゆくば蕎麦道楽でる。先日は塩見岳の帰りに小渋温泉赤石荘に立ち寄った。今回は大鹿村の鹿塩温泉による予定である。うわさにはしょっぱい塩味の利いた温泉らしいがいかに・・・・車で15分ほど走ると温泉に着いた。このあたりには湯元の温泉も含めて3件ほどあるが立ち寄り湯があるのは“山景館“だけであった。
いつも思うのだが、温泉にある体重計絶対に乗ってしまう・・ぼろくてどうせ正確な数値なんか示さないよなと・・思いながらもその数値が思っていたよりも低い数値をさすと密かに”ヨシヨシっ”とほくそ笑んでしまうものだ。今回も例に違わずまさにそうであった!59kgこれはないよな!一気に-4kgは・・・なぜか?? 体重計の真ん中に書かれた、"禁煙健康我が家の願い"の文字の訴えが微笑ましい

山景館・・・入浴600円。お風呂はこじんまりしていて、湯船に同時に4人入ると窮屈。お湯は塩味??舐めなかったのでわかりません。赤石岳の形??をした安山岩?が湯舟の脇に据えられている。銭湯に富士山のノリ!でも山間の一件宿と考えれば、個人的には好きな雰囲気です。

蕎麦・・・松川市街にある“にっぱち庵“・・・夕方の営業は6時からのため時間が無駄なのでまたしても・・・(3回目)入れなかった。時間的には6時以降になる山行は極めてまれである。よって今後も入ることは叶わないかも・・・・

この後中央自動車道の渋滞に閉口しながら帰路についた。何とか眠気も無く無事20時に帰着した。大いに、充実感を味わった秋の山行であった。

This report is finished.




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